2023.08.29

【データに見る「ECの地殻変動」】<第17回>横ばいを続ける再配達率の改善方法


宅配BOXの設置促進を


再配達率改善策の1つにBOPIS(店舗受け取り)がある。BOPISには消費者にとって送料無料や好きなタイミングで受け取れるメリットがある。BOPISによる改善効果はある程度見込めそうだ。

しかし、BOPISはあくまでも消費者が受け取りに出向くという能動的な行為である。自宅への配送にすっかり慣れている消費者が多い中、BOPISは再配達率改善への有効打にはなっても決定打にはなり得ないのではないか。とすればやはり宅配BOXや置き配への期待が高まる。

ところが2022年度に家を住み替えた人を対象とした国土交通省のアンケート調査によれば、宅配BOX設置状況は新築分譲マンションでは9割以上と高いものの賃貸住宅では34.2%、中古戸建では17.6%と低い。同省は宅配BOXの設置にかかる費用の補助金支給などさまざまな施策を展開しているが、実際の設置率をみるとまだ導入の余地が大きい。宅配BOXなしの置き配でもよいが、マンション戸建問わず新築の場合は義務化するなどの施策まで踏み込んでもよいのではないか。

それともう1点。小刻みな配送時間帯の指定に関する議論は重要と見る。例えば配送時間を午前/午後くらいに緩めに設定し、別途小刻みに時間帯を指定したい消費者には追加料金を課すのはどうだろう。消費者からはサービスの改悪という批判を浴びるだろうが、このように消費者による料金負担面を含めた大胆な施策が必要と考える。

個人的には政府による施策に、やや物足りなさを感じている。2024年問題というが今は2023年。待ったなしの状況だ。













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