2023.08.29

【データに見る「ECの地殻変動」】<第17回>横ばいを続ける再配達率の改善方法

6月23日、国土交通省は再配達率調査の最新結果を発表した。同調査は2017年から年2回のペースで実施されている。

本年4月時点の再配達率は全体で11.4%。個別にみると都市部、都市部近郊、地方はそれぞれ12.6%、10.9%、9.6%となっている。半年前からの減少幅は全体で0.4%であり、都市部、都市部近郊、地方の減少幅は0.4%、0.3%、0.3%となっている。



同省の報道発表資料には”減少した”という主旨の文面が書かれているが、状況は半年前とほとんど変わっていない。

長期トレンドを見てみるとコロナ前は、再発達率の減少傾向が明確に見られた。そしてコロナ禍で人々の在宅率が高まったことがプラスに作用して2020年4月は再配達率が一気に改善した。

当時はこれを契機にさらなる減少が期待されたのだが、コロナが落ち着き始めると残念ながらV字反転してしまった。救いは反転レベルがコロナ前より低い点だろう。しかし、再配達率はそれ以降、横ばいに推移しており、再び減少する気配がいまだ見えてこない。

改善しない原因はさまざま考えられる。だがこの長期トレンドにヒントがあると筆者は見る。それは2020年4月を除き、再配達率の高さが都市部、都市部近郊、地方の順で固定している点である。

都市部の率が高い理由の一つは本コラムの第12回で触れているように、都市部のEC化率が高い点。物量の絶対数が多い都市部は必然的に再配達率が高まると予想する。もう1つの理由は、都市部では単身世帯数が多い点だろう。代わりに受け取る家族がいないためだ。

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