2023.10.02

<EC物流最前線>2024年問題とコロナ反動が直撃 競争から共闘時代へ突入か


成長を伴走できる体制


物流の2024年問題を前に、ECモールによる物流も動きが目立ってきた。

FBA(フルフィルメント・バイ・アマゾン)は、自前の物流インフラや配送の強化を進めている。RSL(楽天スーパーロジスティクス)やヤフーは、2024年問題を踏まえた物流体制に移行しつつある。

こうしたモールによる物流も情勢に合わせて変化しているが、出店者にメリットのある物流サービスの提供が根底にある。物流を手掛けるモールと競合となる物流企業もメリットの訴求は欠かせないだろう。

モール物流との連携も戦略の一つだが、物流企業には荷主の成長に直結した自前のサービスの強化が必要だ。近年、物流サービスは他社との差別化が図りにくくなっているといわれる。一方で、臨機応変な対応が求められる通販EC向けのソリューションは商機があるようだ。倉庫の拡張性や柔軟性、システムの汎用性など、荷主の要望に応えた取り組みが始まっている。

アップル流通、清長では、庫内作業などにおける「現場力」を強みにする。業務品質や対応力を担保する管理能力の高さも荷主の成長と信頼を支える部分だろう。


大手が中小獲得へ前進


大手による中小規模の事業者獲得の動きも活発になってきた。

スクロール360は2023年7月に、EC・通販事業者向けの物流代行サービスの「ライトプラン」を刷新し、スタートアップや中小規模の事業者をターゲットに展開を始めた。

SBSホールディングスは、来春にも同社初の通販センターを併設した「野田瀬戸物流センター(仮称)」を開設する。同時に、物流ソリューションを提供するコマースロボティクスと連携し、多数の小規模荷主の業務を集約する「仮想荷主グルーピング」の開始で、中小規模の荷主の獲得を進められるようになった。

これまで大手物流企業は中小規模の荷主への対応が難しかった。システム費用や庫内の作業効率、採算性が合わなかったことが主な理由だ。

こうした大手が中小規模の領域に参入することで、通販EC物流における物流代行の競争はますます激しくなるだろう。

SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」を提供するフューチャーショップが2023年6月に、物流代行の富士ロジテックホールディングスと連携したほか、SBSホールディングスとコマースロボティクスも2023年10月に連携する。物流代行などは他社とも手を組みながら、競争から共闘の時代に変わりつつあるといえる。






RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事