2023.09.26

オートストアシステム、冷凍・冷蔵の自動ピッキングも開発中 安高社長が国際総合物流展で明かす


物流倉庫でピッキングを行うロボットストレージシステム「オートストア・システム」を国内で提供するオートストアシステムは9月14日、冷凍・冷蔵倉庫でも「オートストア・システム」を稼働できるソリューションを開発中であることを明らかにした。東京ビッグサイトで開催された「国際物流総合展 INNOVATION  EXPO」で、安高真之社長・マネージングディレクターが、来場者向けのセミナーで明らかにした。



安原:「オートストア・システム」は、立方体のピッキングロボットが、専用の在庫棚(ビン)から商品をピッキングして、人が作業するポートまで運ぶ、ロボットストレージシステムだ。

コロナ禍においては、欧米で、多くの企業が「オートストア・システム」を採用した。



▲「国際総合物流展」に登壇する安高真之社長

今回の展示会では、「『オートストア・システム』はピッキングスピードが早い」ということをPRしている。

例えば、英国でハイブランドやアパレルを扱うTHG(ハットグループ)では、商品棚(ビン)を30万個保管する「オートストア・システム」の倉庫を構えている。THGの倉庫では、1時間当たりの処理件数は平均1万1000行(ぎょう)となっている。

有名スポーツブランドのプーマでは、1時間当たり2万~5万行を処理しており、1日当たり46万行を処理している。

「オートストア・システム」は、99.5%の稼働率を維持している。システム上のタイムラグはほとんどない。安定して納入・出庫作業を行うことができる。ロボットの動きを常に管理しており、ピッキングした商品の荷合わせの作業を行う必要もない。

「オートストア・システム」の世界最大の導入企業は、スウェーデンのEC企業「Boozt(ブースト)」だ。同社では現在、1244台のピッキングロボットを稼働させており、123万ビンの商品棚を確保している。

導入当時と比較して、「Boozt」社の従業員数は半減した。

ドイツでは、「オートストア・システム」を大きな規模で導入する企業が多い。ドイツでは、日本と同様、人件費の高騰や人材不足が社会課題になっている。人件費は最低時給が2000円にもなっていると言われている。「オートストア・システム」の導入によって、人材不足への課題を解消したいというニーズが高いようだ。

「オートストア・システム」は、システムのアップデートを絶えず行っている。2020年には、ピッキングロボットを稼働させる仕組みを、「プランナー」という仕組みから「ラウター」という仕組みにアップデートした。その結果、ロボットの稼働効率が4倍になった。

「オートストア・システム」は、縦に積まれたビンの棚の上をロボットが移動し、下段にあるビンを掘り起こして、ビンをピックする。つまり、目的のビンの上に積まれたビンを移動させながら掘り起こさなければいけない。それについて、「時間がかかるのではないか」という指摘もある。

実際に測ったところ、ビンを16段積んだ状態で、一番下のビンをピックするのに必要な時間は、3分30秒だった。よく出荷される商品を収納したビンは、ピッキングしやすい上段に収納するため、効率的にピッキングができる。複数のロボットで協力してピッキングするため、時間の短縮につながる。

「オートストア・システム」は進化を続けている。現在、冷凍・冷蔵の自動ピッキングのソリューションを開発中だ。

冷凍・冷蔵のソリューションの特徴は、これまでの「オートストア・システム」を、冷凍・冷蔵の環境下でそのまま活用できるという点だ。



▲開発中の冷凍ソリューションについて紹介

冷凍・冷蔵の倉庫の場合、建物自体を冷やしていくのが一般的だが、ビンを収納するグリッド(棚)だけを冷凍・冷蔵できるソリューションを開発した。

結露を防ぐエアコントロールの仕組みも導入している。海外では、すでにテストで運用している倉庫もある。







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