2024.03.05

【データに見る「ECの地殻変動」】<第23回>物流問題の解決はデータによる状況の可視化から


宅配ボックスはまだまだ


3点目は宅配ボックスの設置率について。再配達率改善の鍵は、置き配の推進とみる。そのためには宅配ボックスの設置率の上昇は必要不可欠な要素である。

だが、2021年度の新築分譲マンションでの設置率は92.4%と高い一方、中古分譲マンションになると50.2%。賃貸住宅では34.2%と低くなる。

新築の注文住宅でも設置率は28.4%に過ぎない。宅配ボックス設置の補助金支給など政府や自治体による制度面の後押しはあるが、数字をみると設置率は十分ではない。


積載率はV字回復中


最後はトラック輸送の積載率について。この数値は分母を輸送能力、分子を実際の輸送量(トンキロ)で計算した輸送の効率性を示す指標である。

意外と注目されていないが2022年の積載率は39.8%と3年連続で上昇している。ただし2013年の41.1%をピークに2019年には37.7%にまで下落した。

すなわち現在、V字回復中である。積載率は100%が理想だが現実的には不可能だろう。しかしCO2排出量削減の点からも積載率の上昇は推し進められるべきである。

以上、4つのデータを紹介したが、全て輸送・配送に係るデータである。これらに荷役や保管といったセンターサイドのデータを加味して多角的に分析すれば、異なる課題同士の関係性が可視化され有効打が見えてくるだろう。

関係者の多くは物流問題を定性的なイメージで捉えているのではと筆者は危惧している。テーマごとにそれぞれの状況についてデータを使って可視化することが解決に向けた唯一の道と考える。関係者の対応に期待したい。











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