生鮮品や農産品などのEC企業が、フードロスの削減や高齢化する生産者の支援といった社会課題の解決につなげようとする取り組みが加速している。天候不順や災害などで被害を受ける生産者を購入で支援したり、適正な価格で販売したりして生産者の安定的な収益につなげる動きが活発になっている。
「食べチョク」を運営するビビッドガーデンは、6月の台風2号による豪雨被害を受けた生産者の支援プログラムを開始。被災した生産者のために応援チケットを販売したり、商品を出せる場合には被災した生産者の対象商品1購入あたり300円を生産者に寄付する活動を実施した。オイシックス・ラ・大地では、アップサイクルブランド「Upcycle by Oisix」において、約2年間で66品目の商品を開発し、コラボなどの取り組みを広げ、累計売上約4億円の規模に成長している。
産地との緊密な連携で「もったいない」に各ブランドでスピーディーに対応するなど1年間で約300トンの産地でのフードロスを削減している。生産者に対してさまざまな角度から支援することで、社会課題の解決にチャレンジする企業を紹介する。
【CONTENTS】 ▶オイシックス・ラ・大地、「サステナブルリテールを掲げて推進」社会課題の解決につなげる
▶ビビッドガーデン「食べチョク」、樹木オーナー権を企業に販売 安定した収益で生産者を支援▶ノウタス「ノウタスモール」、農産品を適正価格で販売 6月から「パープルM」を開始
▶オイシックス・ラ・大地 「サステナブルリテールを掲げて推進」社会課題の解決につなげる
オイシックス・ラ・大地は、アップサイクル商品を開発・販売するフードロス解決型ブランド「Upcycle by Oisix」を販売している。
アップサイクル商品の開発では、企業とコラボの形にすることで製品開発につなげている。今年1月には、チョーヤ梅酒と共同開発した新商品「梅酒から生まれたしっとりドライフルーツ」の販売をECサイト「Oisix」で開始した。他社の原料をアップサイクルして、商品化するのは今回が初めてとなる。
▲「ちゃんとOisix」のロゴ
梅酒づくりで使われた梅を丁寧に種抜きし、独自の製法でしっとりとしたドライフルーツに仕上げた。
2月には、プロントコーポレーションと共同開発した新商品「コーヒーから生まれた 黒糖あられ」「コーヒーから生まれた チョコあられ」の販売を開始した。飲食店とアップサイクル商品を共同開発するのも初めて。
プロントの店舗から出る抽出後のコーヒー豆のかすを安全性を担保した状態で集め、アップサイクルし商品化した。外食産業のフードロス削減にともに乗り出す。
▲「ちゃんとOisix」アンケート結果 無駄なく使えるキット好調
「Oisix」は、ムダなく食材を使い切る献立セット「ちゃんとOisix」が好調だ。昨今の物価高やサステナブルへの意識の高まりのなか、フードロス削減や食費節約につながる生活防衛サービスとして支持が広がっているという。
2019年10月から開始し、利用者が4.8万人を突破した(2023年5月25日時点)。「ちゃんとOisix」は、3日間または5日間で使い切れる食材とレシピがセットで届くサービス。「ちゃんとOisix」を利用する顧客アンケートによると、82%が「家庭での食材廃棄が減った」、90%が「無駄な買い物が減った」と回答したという。
▲「Kit Oisix 骨まで入った丸ごとサバラーメン」
海のフードロス対策
6月15日、サバの骨粉を練り込んだオリジナルの麺を使用したミールキット「Kit Oisix 骨まで入った丸ごとサバラーメン」を「Oisixサステナブルマーケット」で販売を開始した。
6月8日の世界海洋デーにちなみ、独特の香りから食用に利用されてこなかった「キュウリウオ」や、小骨が多く敬遠されがちな「トロニシン」、加工の手間がかかるためこれまで活用されていなかった「モウカザメ」などを使用したミールキットや魚のおかず品を販売した。