2023.02.14

【生鮮品EC<第3回>】高付加価値の食材で「ハレの日」戦略強化 コロナ後を見据え、多様なニーズに対応

生鮮EC企業は、生鮮野菜など日常的に使う商品を主力としている。一方で、コロナ禍をきっかけに自宅でレストランの気分を味わえる高付加価値な食材を販売したり、ホームパーティー需要を捉えたりしている。冷凍食品もメディアを通じて多彩な商品の認知と利便性が消費者に広がっており、エスエルクリエーションズが手掛ける高級ラインの販売が好調だ。日常使いの商品に加え、高単価で高付加価値の食材を求める消費者のニーズをさらに取り込もうと各社とも力を入れている。コロナ後を見据えた、食品宅配やEC企業の「ハレの日」商材の販売戦略をまとめた。



【CONTENTS】
・<宅配>エスエルクリエーションズ、高級冷食シリーズが40万食 「ジーズメニュー」の販路拡大
・<EC>オイシックス・ラ・大地「Oisix」、ディーン&デルーカ販売強化 毎月、新ミールキット投入
・<EC>ビビッドガーデン「食べチョク」、希少性ある食材で差別化 法人ギフトの需要取り込みも




【宅配】エスエルクリエーションズ

高級冷食シリーズが40万食 「ジーズメニュー」の販路拡大


食品宅配のエスエルクリエーションズは、創業50周年にあたる2020年4月に発売した高級冷凍食品ライン「Z’sMENU(ジーズメニュー)」が好調だ。販売から約3年で累計40万食を超えている。コロナ禍で冷凍食品に対する認知が向上し、百貨店を中心に販売が広がったことが後押しした。

「Z’sMENU」のブランド名は、アルファベットの最後となるZに先は存在しないことに由来し、「至高」という意味を込めた。50年間に渡って培った冷凍加工技術を用い、日本一安心・安全でおいしい究極の冷凍食品を目指した。


▲日本一安心・安全でおいしい究極の冷凍食品を目指した

レンジ調理や湯せん、解凍するだけで食べられる簡便性がありながら、使用する素材や製法にこだわった。

肉料理については独自開発している「4Xミート」「4Xビーフ」を採用。治療用化学薬品・抗生物質不使用の原料を積極的に採用して素材にはこだわった。


▲「4Xビーフ」を採用したリブロースステーキ

当初は、百貨店の地下売り場で購入する顧客層を対象にしていた。発売直後からコロナ禍となり、外食を控えて自宅でレストラン気分が味わえる食材として、多くのマスメディアが注目。その後、「婦人画報」のお取り寄せサイトが取り扱いを始めたのをきっかけに、他の通販企業からの引き合いが増えたという。

百貨店では、「ジーズメニュー」の売り場を持つ企業の出店を広げ、2021年6月に初めて大阪・阪急うめだ本店にオープン。外商やギフト需要にも広がりを見せている。店舗で商品を見て配送を依頼して購入するケースが多い。その他、発売から約3年を経て、「ハレの日」に購入するケースも増えているという。

今後は3年間の売り上げ実績に応じて改廃を進め、4月には44品目に絞り込み、新たな商品を開発することで50品目体制を目指していく。高級なシニア向け施設や高級レジデンスに自動販売機を設置して販売することも計画。会員制のゴルフ場やグランピング・キャンプ場などにも提案を進める。

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