インテリアEC企業が、実店舗の展開を加速させている。ECと店舗を両輪にした施策を推進して成長を目指している。店舗展開は売り上げの拡大だけが目的ではなく、「コミュニティーの創出」「顧客との関係構築」「新規顧客の獲得」なども目指している。デジタルのコミュニケーションから、リアルのコミュニケーションに移行すること自体にも可能性を見据えているようだ。実店舗を展開する主要なインテリアEC企業の取り組みをまとめた。
【CONTENTS】▶Flavor、密接な関係性を構築 都内に新たな出店も
▶ソレイユ、サービスの高い完成度目指す 店ではサンプル使ってお試し▶友安製作所、カフェスペースも併設 自社商品で店内コーデ▶オフィスコム、内装工事サービスに貢献 店舗ではイメージ確認も
Flavor、密接な関係性を構築 都内に新たな出店も
インテリアECサイト「Re:CENO(リセノ)」を展開するFlavor(フレーバー)は、来店客の大半が、ECサイトを見て来店している。
こうした状況を踏まえて山本哲也社長は、「ECと店舗は密接な関係性がある」とし、今後も新たな店舗を都内に設ける計画を進めている。
▲Re:CENO TOKYO店同社が販売するソファーの単価は20万円以上で、ダイニングは10万円以上する。こうしたアイテムを多数揃えていることもあり、「商品を体感してから購入したいという声が多い」(山本社長)。
また、ECサイトと連動する形で、オウンドメディアや動画コンテンツにも注力している。コンテンツには、同社のスタッフもたびたび登場。スタッフの姿を見えるようにして、直接、インテリアの相談をしたいという要望に応え、多くの顧客の来店動機につながっているという。
今期は、アパレル業界で活用されているシステム「LINE STAFF START(ラインスタッフスタート)」を活用して、店舗で接客したスタッフがオンラインでも1対1で対応できるようにしていく。
リスクを体験でカバー
家具の購入に関しては、オフラインの購入が今も多い現状を踏まえ、「高額であれば、購入の失敗がユーザーに損失を与えてしまう。実物を体感してもらうことが非常に重要になる」(同)とみる。
商品ブランドの成長には、認知の向上も必要になるが、グーグル広告などウェブ広告のみでは、ブランドの成長を数値化することが難しい。店舗では偶然の出会いという側面もある。
「ウェブスタートは、商品を購入してからブランドの世界観を把握する。店舗の場合は、ブランドを知ってから商品を購入する。こうした違いもある」と分析している。
▲各スタッフがコンテンツを定期的に発信店舗展開の重要性について、「家具は体感することが大切。店舗展開は必須であり、王道の戦略である」(同)と言う。また、マーケティングの観点からみれば、ウェブでは生まれにくい成果が表れるのが店舗であるとし、引き続き、ECと店舗の取り組みに注力していくとした。