2023.07.21

【全世界で売上高1000億円へ】オートストアシステム 安高真之社長「ロボットによるピッキングニーズが拡大」


物流倉庫でピッキングを行うロボットストレージシステム「オートストア・システム」を提供するオートストア(本社ノルウェー)では2022年から、アパレルなどさまざまな小売企業へのシステムの提供が、世界的に進んでいる。同社の2022年12月期の売上高は、前期比約78%増の800億円となった。2023年12月期の売上高は、1000億円を超えると見込んでいるという。「オートストア・システム」を日本で提供している、オートストアシステムの安高真之社長・マネージングディレクターに、日本での拡大の背景について、聞いた。



国内の導入件数は2倍超に


――「オートストア・システム」について、サービス概要を知りたい。


「オートストア・システム」は、立方体型のピッキングロボットが、専用の在庫棚から商品をピッキングして、人が商品をピックするポートまで運ぶシステムだ。

倉庫の収納スペースを縮小したり、ピッキング作業の時間・コストを削減したりすることができる。

コロナが収束してきた2022年から、世界各国の企業で、「オートストア・システム」を導入したいというニーズが高まっている。自動倉庫のマーケットが拡大しているのだ。特に、アジア太平洋や北米地域での成長率が高い。アパレルブランドなどの小売企業が導入するケースも多い。さまざまな商品を在庫・発送している3PL事業者も次々と導入している。

例えば、当社のサービスの導入先のアパレルのECでは、1日46万個を出荷しており、そのほとんどすべてを、「オートストア・システム」で対応している。

日本国内では、2023年末までに、「オートストア・システム」の導入件数が、前期比2・5倍になる見込みだ。累計導入件数は、70件となる。

導入件数が大幅に増加しているのは、コロナで投資を控えていた企業が、一気に投資を加速させていることがある。

日本では、「オートストア・システム」の在庫数について、世界平均の半分程度のスペースで導入するケースが多い。「オートストア・システム」では、商品を在庫する棚を「ビン」と呼んでいるが、世界平均は15万ビンを在庫するのが一般的となっている。


AGVよりも省スペース


――マテハンの自動化については、AGV(自動走行ロボット)の導入も多い。違いは?


「オートストア・システム」では、同じ程度の商品数の在庫を保管する場合、AGVで必要な面積に比べて、少ない面積で構築することができる。「オートストア・システム」では、縦に高く在庫することができるため、AGVに比べて、倉庫の空間を有効活用することができるのだ。

商品を在庫するスペースについても、自由に組み換えや拡張を行うことができる。

「オートストア・システム」は現在、1時間当たり2万ビンをピックすることが可能となっている。人の手を掛けずに生産性を高め、電力を抑えて稼働させることができる。

――日本では、物流ドライバーの労働時間を制限することによる「2024年問題」が話題だ。「オートストア・システム」では、どのような貢献が可能か?

私は、「2024年問題」は、「人の過労度」に関する問題だと考えている。この問題を解決するには、今の体制のままでは、人件費を高めるしか解決策はないのではないか。

「オートストア・システム」を導入すれば、人件費を含めたコストの圧縮に取り組むことができる。

「オートストア・システム」を導入すると、一般的に数億円の投資コストが発生することもあるが、6年程度で投資を回収することができるというデータもある。

今後、長い目で物流を見たときに、人が集められない状況は続くだろう。遅かれ早かれ、投資をせざるを得ないとしたら、「オートストア・システム」も有効な選択肢になるのではないか。


【プロフィール】
オートストアシステム 社長・マネージングディレクター
安高真之(あたか・まさゆき)氏



1999年、富士通にてシステム開発・SE・PM としてキャリアをスタートし、その後複数のベンチャー企業にてシステム IT 系ほぼすべての仕事を経験後、2005 年よりマイクロソフトにてエンタープライズ向け技術サポートの複数のチーム (セキュリティ、ネットワーク、コア OS)のマネージャーを歴任。2011年よりアマゾンジャパンにて物流倉庫内のエンジニアリング(CAPEX 責任者、WMS・WCS 系の改良・導入)、小田原新倉庫の立ち上げ等様々なプロジェクトの責任者を歴任。2018年よりソフトバンクロボティクスにてロジスティクス事業技術担当統括部長を経て、2021年ソフトバンクロジスティクスのCOOに就任、日本のビジネスに適合した物流ロボットのインテグレーション及び自動化した物流倉庫にて 3PL 事業を推進。2022年よりヤフーのCEO事業推進室にて、ロジスティクス事業本部長。2023年5月より現職に就任。





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