ANA経済圏の創出へ
ANA Xは今後、どのような戦略でECモールの成長を図るのか。前出の早川氏は、まだモールの認知度が足りないことを認めつつ、今後はANA経済圏の創出を目指していくという。
「まだ3800万人の会員全員がモールを開設したことを知っているわけではない。このモールはマイル会員が鍵となる。そのため、引き続き会員への周知を徹底する。このほか、出店者の皆さんと共同で販促も仕掛けていく」と話す。
さらに「今後はスマホ決済サービス『ANA Pay』でANAのマイルからの入金を可能にする。マイルを小売店での少額の支払いなどに日常で使えるようにし、日常でマイルが使える世界の実現を目指す」と語る。
「ANA Pay」は現在、JCBのクレジットカードからしか入金できないが、複数の国際ブランドのクレジットカードや銀行口座、ATMからも入金できるようにする。セブンイレブンやファミリーマートなどのコンビニや、全国のドラッグストア、飲食店などでの利用を可能にし、決済を軸にANA経済圏の拡大を狙う。
ANAマイルの利用範囲が広がることで、利用先の一つである「ANA Mall」への顧客流入も増えると予測している。
JALのモールも注目
JALと子会社のJALUXは今年2月、ECモールを夏までに開設すると発表した。現在、提供しているECサイト「JALショッピング」は、同モールに統合する予定だ。
新モールには、JALオリジナル商品をはじめ、グルメやワイン、ファッション、生活雑貨、家具・家電など、幅広い商品ラインアップを取りそろえる計画だ。
航空大手2社であるANAとJALが双方ともモール展開を開始することで、旅行でマイルをためて、モールで使うという消費行動が一般化する可能性が高まる。
観光庁が発表した2022年10‐12月の日本人国内延べ旅行者数は、前年同期比23.5%増の1億1077万人になった。2023年に入り、国内旅行者はさらに活性化しており、海外旅行者も増加傾向にあることから、マイル会員のマイル取得額も高まることが見込まれる。
航空大手2社が展開するECモールは、EC事業者にとっても魅力的に売り場となりそうだ。