2023.04.07

【<2023年>主要EC支援サービスの値上げまとめ】インフラコストの上昇は不可避、価格転嫁以外の策も必要

【EC事業者に迫るコスト高の波】 


EC事業者にとってさまざまな領域におけるコスト高は深刻な課題だ。特に配送や梱包などの物流コスト、サーバーやカート利用料などのITコスト、光熱費などのインフラ部分の値上げは、避けることができないため、より深刻だといえる。EC支援サービスのコスト上昇の状況をまとめるとともに、対策を分析する。



日本郵便も値上げへ


4月からヤマト運輸や佐川急便が宅配料金を値上げする。法人契約しているEC事業者や物流代行会社との価格交渉も順次、進めている様子だ。

日本郵便も今秋をめどに、「ゆうパック」の料金を値上げする方針だという報道が出た。総務省は3月31日、日本郵便の2023年度の事業計画を認可したと発表しており、その事業計画には「ゆうパック」運賃の改定について言及している。




年契約で価格維持も


ECサイト構築サービス大手の「Shopify(ショッピファイ)」や、「makeshop(メイクショップ)」も値上げに踏み切っている。昨年、「カラーミーショップ」も値上げしている。

各社は既存利用企業に対して、年間契約などに切り替えることで、従来の料金を一定期間は維持できる旨を伝えている。

急な値上げを避けたい事業者は年間契約への移行を選択しているようだ。


製造・仕入高は95%


「日本ネット経済新聞」の姉妹紙である日本流通産業新聞が2022年末に調査した、通販・EC事業者の実態調査では、2022年以降に商品の製造・仕入れコストの上昇を感じている通販・EC事業者は、回答者全体の95.8%もあった。



特に「商品の原料」「製品の仕入れ価格」「海外からの輸送コスト」で大きなコスト上昇を感じている事業者が多かった。

大半の事業者が、コロナ禍前の2019年度よりもコストが上がったと回答しており、上昇幅は5~20%と回答した事業者が多かった。




価格転嫁が過半数


「コスト高」対策として製品価格を値上げした事業者が過半数を超えた。通販・ECに限らず、さまざまな商品が値上げをしており、通販・EC業界においても、その流れに乗って値上げに踏み切る事業者が増えている。

「値上げ」以外にも、「セール期間や割引価格の見直しなどを行うなど、お客さまにご満足いただける商品・サービスの提供に注力する」と回答する事業者もあった。「生産性向上によるオペレーションコストの見直し」を進め、コスト高を吸収すると回答した事業者もあった。

アスクルのような多品種を取り扱う事業者は、送料無料ラインの改定や特典を付与することで、「まとめ買い」を促進し、1箱単位の収益構造を改善しようとしている。

2023年も「仕入れ・資材・物流」などのコスト上昇が続くと見込んでいる事業者は、回答者全体の72.0%に達した。円安傾向や国際情勢の沈静化のめどは立っておらず、「コスト高」の傾向は続きそうだ。







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