2023.05.08

【航空大手のECモールの可能性】「ANA Mall」の出足はまずまず マイル会員3000万人のニーズ把握が鍵


日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の航空大手2社が、マイレージ(マイル)を利用できるECモール展開を開始する。両社とも3000万人を超えるマイル会員を有しており、ECモールとしてのポテンシャルは高い。さらにコロナ禍が落ち着きを見せ、旅行者が増加していることから、マイル会員の活性化にも期待が持てる。JALグループのECモールは今夏の開設予定だが、ANAグループのECモールは今年1月に開設している。運営会社のANA X(エイエヌエーエックス)や、出店しているEC事業者に、出足の状況や今後の期待について聞いた。



ANA Xが今年1月に開設した「ANA Mall(エイエヌエーモール)」は、ANAのマイル会員3800万人を顧客基盤としている。グループ企業が運営するECサイトをモールに集約したのに加え、開設時には23店舗が出店した。

リンベル、高島屋、成城石井、家電ECのストリーム、健康食品の九南サービス、化粧品のTerre Bleue(テアブルー)などが出店している。

「ANA Mall」は購入金額100円で1マイル、ANAカード決済では100円ごとに2マイルがたまる。1マイルを1円として買い物で利用することもできる。

コロナ禍で旅行に行けず、マイルの使い道に悩む顧客も多かったという。  

「今までだと、ポイントが数千ポイントあっても、使い道がなく、泣く泣く失効していた顧客もいる。そういった顧客にこそ、このモールは最適だ」(EC事業推進部 早川みな恵マネージャー)と説明する。


▲EC事業推進部 早川みな恵マネージャー(2023年3月時点、4月から異動)

ANAグループのマイル会員は、約3800万人おり、会員の約50%の平均世帯年収が1000万円を超えている。消費力の高いマイル会員が、「ANA Mall」の潜在顧客なのだ。


出店者のリアルな声


モール開設からまだ3カ月だが、初速はどうなのだろうか。出店者からは、これからの成長に期待を寄せるという声が多い。

家電のECサイト「ECカレント」を運営するストリームは、モールのポテンシャルはかなり大きいものを秘めているとみている。

「出店してから毎月、売り上げは右肩上がりで上がっている。他のECモールよりも少し単価の高い商品がよく売れている印象だ。やはり実際に、ANAマイルを保有している人がマイル消費で購入しているケースが多い」(右田哲也取締役)と説明する。

ストリームは今後、ANA Xと共同で販促を展開し、さらなる顧客からの商品の購入につなげていく計画だ。

「今後は、ANA Xとともに、家電商品のキャンペーンを行っていく。季節に応じた商品の中から目玉商品のセールや顧客に付与する『ポイントアップ』などの施策を検討している。ANA Xと当社で力を合わせて『ANA Mall』の流通額の拡大につなげていきたい」(同)と展望を語る。

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