2022.11.24

ゴールドウイン、OMO加速で売上拡大 リアルの「接客」「在庫」「サービス」をEC展開

システム部 ITストラテジーグループ マネージャー 冨田良介氏


30社のカート事業者からAMSを選定


――ECシステムのリニューアルは大変ではなかったですか?


とても大変でしたね。とても(笑)。社内関係者が総動員であたり、ゴールドウインの総合力が試される取り組みでした。

それでもやはり、オムニチャネル化を推進するためにECシステムのリプレイスが必要なのは明白でした。ただ、社内の各部署、各ブランド事業部にヒアリングをしていく中で、単純にECのシステムをリプレイスするだけでいいという話ではないことが分かってきました。

ECシステム以外にも顧客データベースのリプレイス、ドメイン周りの整備やコーポレートサイトとの分離、インフラ環境の整備、スタッフコンテンツの仕組み作りやブランドアプリの提供など、これらの施策を一括して実施しないと意味がありませんでした。

そのため、システムベンダーの選定では、今回のプロジェクト規模の大きさや、当社との今後の関係構築上の重要性から、コンペを実施することとしました。

まず、国内約30社のカート事業者に対して、ドキュメントベースでフィルターにかけました。選定したカート事業者には、2次コンペという形で実際にお声がけをさせていただき、当社で作成したRFP(提案依頼書)をもとに、オリエンテーションを実施し、プレゼンという流れです。その際の要件リストは300項目程になりました。

最終的にAMS社に決定となりましたが、要件に対する実現度の高さもさることながら、決め手はプレゼンの内容でした。とても分かりやすい説明で、さまざまな要件をどのように実装していくのか、実装した結果どのような利益が当社に生まれるのか、全体を通して話に具体性があったのは大きいですね。

他の参加企業さまからは、「この部分はできません」と言われることもありました。得意ではない領域について、回答が曖昧になる企業もありました。

AMS社は手掛けているサービスの幅も広く、当社と同種のクライアント実績も豊富なため、その経験がプレゼンでの自信につながっているのだと思います。プレゼンに参加した当社メンバーは皆、AMS社に定性的にも定量的にも高い評価をつけていましたね。


▲システム部 ITストラテジーグループ マネージャー 冨田良介氏

――AMS採用後のプロジェクトの進行は満足のいくものでしたか?

スケジュールはあまり猶予があるプロジェクトではなかったですが、AMS社とは密にコミュニケーションを取り、リプレイスを進めていくことができました。多様な定例会を設けていただいた点も非常に助かりました。フロントエンドやバックエンド、顧客データベース、インフラ、運用などセクションごとに毎週、数時間単位の定例会をそれぞれ設けていただき一気に進めました。

運用面でも手厚くサポートしていただきました。運用スタッフがマニュアルだけでは汲み取れなかったり、分かりづらかったりする場合には、AMS社の担当者が当社に来ていただきフォローしたり、リリースが近づいた時期には、決まった曜日に複数名が半常駐という形で付き添って教えてくれたので、現場メンバーも頼もしかったと思います。

言葉で「包括的に支援します」と語るベンダーはありますが、AMS社はクライアントと包括的に関係性を保つことが企業体質となっていると感じました。口では言えても、実際にできる会社は多くはないと思います。

――AMSだからこそ実現できている機能はありますか?

いろいろありますが、ひとつは顧客に関わる一連のデータ統合ですね。今回のリプレイスでは、ECシステム以外に顧客データベースもAMS社に構築いただきました。

顧客管理、分析、プロモーションなどCRMやマーケティングの強化を図れている一方、店頭オペレーションのスムーズ化も実現できています。

顧客データベースでは顧客情報管理のほかに、会員バーコードの発行・管理も行います。今回はこの設計を少し工夫して、ゲスト時と会員時のバーコード情報をそれぞれ個別のレコードで管理し、任意で紐づけられるようにしました。これにより店頭でアプリダウンロード施策を行う際にはオペレーションが短時間で済むようになりました。

例えば、店頭でアプリをダウンロードしたとき、ポイントを付与するためにレジ前で会員登録を急いでしていただくのは購買体験的によくありません。後ろに別のお客様が並ばれたら焦りも出てきます。そこで当社では、レジ前でお客様にはアプリのダウンロードだけをしていただき、ゲスト状態でバーコードを発行・表示し、まずそれに対してポイントを付与します。お客様はその後、お好きなタイミングで会員登録をしていただければ、ゲスト時に付与したポイントがお客様の会員IDに対してそのまま紐づけられる仕組みです。面倒な手間は後回しにして、とにかくお客様のメリットを速やかに提供できる方法を考えました。

これも当社では以前からの懸案事項でしたが、AMS社と設計から詰めたおかげで実現できました。

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事