2022.07.25

「ロジザードZERO」と「Bカート」が連携 BtoBもEC化の流れに、コロナを機に効率化・省力化を推進【<対談>Dai 鵜飼取締役×ロジザード 亀田取締役】

ロジザード 取締役 亀田尚克氏(左)、Dai 取締役 鵜飼智史氏(右)


ロジザードが提供するWMS(倉庫管理システム)「ロジザードZERO」と、Daiが提供するBtoBの受発注をEC化するクラウドサービス「Bカート」が「Bカートアプリストア」での連携を開始した。「Bカート」が6月1日から公開した「Bカートアプリストア」での連携サービス第1弾が「ロジザードZERO」となっている。アプリストア連携の狙いや、BtoBにおけるEC化の可能性について、Dai取締役の鵜飼智史氏と、ロジザード取締役の亀田尚克氏が対談した。


電話・FAXのやり取りから脱却へ


亀田
:近年のコロナ禍により、BtoB受発注のデジタル化は引き合いが増えているのだろうか。

鵜飼:ご想像の通り、BtoBにおいてもデジタル化推進の波が来ており、われわれへの問い合わせや引き合いも、ぐっと増えている。スマートフォンやPCの普及とともに以前から伸び始めてはいたが、コロナ禍になってさらに急激に増加した。以前は、電話・FAXで取引をしていても「大変だな」と思いつつ、業務自体に支障は来さなかった。事実、われわれがEC化を提案しても、理解はしてもらえるものの重要度は上がらない状況だった。しかし、コロナ禍になって「今度はやります」という方向に変わってきた。

亀田:われわれ「ロジザード」が「Bカート」と連携したのは2012年ごろで、当時の物流業界では、そもそも「データ」というものが存在せず、FAXで注文書をもらい、それを物流側にまたFAXで送るような流れだった。「WMSに情報を入力してください」と話をしても、「誰がどうやって入力するの?」というのが現場の反応だった。

鵜飼:社内の別部署とのやり取りでも、出荷指示をFAXでやっている企業がいまだに多いと聞いている。しかし、2020年の春に1度目の緊急事態宣言が発令され、非対面でのビジネススタイルの推奨や、「テレワーク」という新たな言葉が日常生活の中でも頻出するようになるにつれ、それまで「何かおかしいな」と思っていたものに、いよいよふたをできなくなってきた。



▲Dai 取締役 鵜飼智史氏

亀田:緊急事態宣言下では「出社禁止」「自宅で仕事を」という企業が多かったが、その当時危機感を覚えたのはFAX対応だ。取引先からの受注はまだまだFAXでの運用が残っており、特に倉庫さんはFAXの利用頻度が高い。自宅で仕事をするとなり、FAXの対応ができなくなってしまうと、恥ずかしい話だが、IT会社のロジザードでも社内で大騒ぎ。そのときになって改めて、「FAXでの受発注は限界を迎えているのかもしれない」というのを、身をもって実感した企業が多かったと予想される。


アプリストアで欲しい機能を選択


――そのような状況が続く中で、「Bカートアプリストア」のリリースと同時に、「ロジザードZERO」とのAPIによる自動連携の開始だが、その背景は?

鵜飼:以前から「Bカート」と「ロジザード」はCSVでの連携を行っていたので、データ自体はつながるような形にはなっていた。しかし、昨今自動化のニーズとして、「データの入出力を手動でやらなければいけないのか」「両サービスでデータのやり取りを自動で行うことはできないのか」という声をいただくことが多々あった。これらのデータのやり取りを自動で行うとなると、APIでの連携が必要になってくる。そして、APIでの連携を進めていくと決定したとき、ちょうど「Bカート」ではアプリストア実装の準備を進めていたこともあり、「一緒にリリースの日を合わせながらやりませんか?」ということでお声掛けさせていただき、双方で協力して進める形となった。

これは「Bカート」の話になってしまうが、もともと「Bカート」は無料でAPIを公開しており、これまでもかなりのユーザーに利用いただいいてきた。ユーザーの背景として、「Bカート」導入以前から利用している社内の販売管理システムがあり、そのベンダーさんが独自でAPIを開発し、「Bカート」との連携を自動化するといった案件ベースで動いているケースが多い。しかし、せっかく開発して連携を実現しても、そのユーザーの社内だけで完結してしまい、同じ販売管理システムを使っている他社からすれば、連携ができるのかどうかは分からないままだ。ベンダーさんも、実はその連携が他社クライアントに対して流用できるのは分かっているけれど、そのニーズをどこから吸い上げれば良いのかが分からない。「Bカート」ユーザーのニーズに応えることのできるベンダーさんがいるのにもかかわらず、その両者がなかなか出会うことができない、そんなモヤモヤとした状況が長年続いていた。

そもそもBtoBの取引はかなり複雑な面が多く、それに対して、われわれ「Bカート」は個別でのカスタマイズ対応を行うことなく、無料でのアップデートで全ユーザーに対し新たな機能のリリースを続けてきた。しかし、そのアップデートで機能を追加したとしても、一部のユーザーが「待ってました」となる一方で、それ以外のユーザーは一切その機能を使わないということも少なくなかった。これはBtoB取引という、企業ごとに異なる業務フロー、異なるニーズをはらんだ場面に切り込んでいくサービスである以上、避けられない課題でもあった。ほとんど使われることのない機能がどんどん追加されていってしまうと、新たに「Bカート」を利用する方に「機能が多すぎて、どこをどう触っていいのか分からない」という不要なフラストレーションを感じさせてしまう。

これらの課題を解決するべく、それぞれのユーザーごとに必要な機能をアプリストアから追加して使うようなサービスのスタイルに変えていくべきなのでは、と考えた。必要のないものは省き、「Bカート」の自体はできるだけシンプルに保っておきつつ、欲しい機能があればおのおのがアプリストアから追加してすることができるような状態にした方が、「Bカート」ユーザーにとっても使いやすく、直感的で分かりやすいのではないかということで、アプリストアのプロジェクトを開始した。

亀田:なるほど。確かにシステムそのものの機能が増えていくにつれ、かえって導入するための障壁が高くなってしまうことに加え、結局その膨大な機能で何ができるのかはイマイチ分からないという状況を生み出してしまう。さらに、システム本体と外部サービスとの連携を行う場合、そのサービスとの連携が必要のない人に対して「これは何?」といった余計な疑問を抱かせる原因となってしまう。できることを増やすことによる別側面での弊害を、アプリストアという新たな手法で解決するという形か。

われわれとしても、そのアプリストアによる連携の第1弾として「ロジザードZERO」が選ばれたのはありがたい。WMSを提供している立場でいうと、EC物流に参入することで良かった点は「電子化された受注情報」があることだった。商品マスタや受注データが入ってこないことには、WMSは基本的に動かない仕組みとなっている。BtoBの物流現場において、当時すごく難しかったのは、電話やFAXのやり取りが主流で、電子化された情報がないということだった。BtoB-ECサイトがない状態でWMSを導入してしまうと、結局誰かが商品情報やFAXやメールで受けた注文の情報をデータ化して入力する必要がある。そして、その業務を誰もやりたくないというのが現場の本音だった。

鵜飼:ある企業の営業部長と商談した際に聞いたお話では、FAXの内容を担当者が毎度手入力していると、どんどん俗人化が進んでしまうそうだ。やがて、「この会社の受注業務は〇〇さんがやっているから」となり、その担当者にしか詳細が分からないという状況が生まれてしまうと聞いた。

亀田:当然、取引先は複数存在し、FAXのフォーマットや記載内容の“クセ”も取引先の数だけ存在すると言っても過言ではない。商品名や納品希望日など、受発注に関する情報がFAXで来てしまうことによって、その情報を読み解いてデータ化することが1つのスキルになってしまっている。その本来はいらないはずのスキルが、何となく日本の各地で当たり前に確立してしまっているイメージだ。

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