マーケ施策や在庫最適化でも成果
――マーケティング施策と連動した事例もありますか?西﨑:食品企業さまが新規顧客のWebの流入経路と購入商品を掛け合わせて、LTVを分析した事例があります。この流入経路でこの商品を買ったときにLTVがどうなっているかを把握することで、流入経路ごとに表示すべきLP(ランディングページ)を分析することができました。
広告を展開する際に、どのLPにユーザーを誘導すべきか判断に悩むケースがあるそうです。Googleアナリティクスでも流入経路ごとの転換率は分析できますが、LTVまで分析することはできません。
中長期的な視点で流入経路ごとのLP(商品)を最適化でき、広告投資の強化や媒体ごとの広告予算配分につなげることができたそうです。この事例は食品企業に関わらず、どの分野でも応用できると思います。
――在庫の最適化に貢献した事例はありますか?林:「Sechstant CDP」は主にCRMのための分析ツールですが、データを可視化することで在庫の最適化につながった事例もあります。
アパレルブランドを展開するナラカミーチェジャパンさまは、店頭に在庫が滞留しているのに、ECでは在庫がゼロになっているというケースが多くあり、販売の機会損失を起こしていることが課題になっていました。
在庫数を実店舗とECの双方で横断的に確認することが容易ではなかったことが背景にありました。横断的に分析するためには、「ECサイトの在庫のデータ」と「店頭の在庫データを管理している基幹システムのデータ」をそれぞれ出力し、手動で一つにまとめて、照らし合わせる必要がありました。この作業をやろうとすると、半日以上も掛かってしまうそうです。
林雅也社長「Sechstant CDP」を導入していただいたことで、ECサイトで欠品している商品の在庫がどの実店舗にどれだけあるかを可視化できるようになりました。さらにECサイト上での「お気に入り」「再入荷通知」の登録状況を分析することで、在庫を最適に配置しやすくしています。
EC在庫の欠品予測日数や、それに基づく安全在庫数などを分析することもでき、欠品が生じる前に在庫を確保しやすくなりました。在庫の最適化はデータを可視化したことによる副産物とも言えますが、短期的に効果を出せる施策として好評です。
――今後、両ツールはどのように進化しますか?西﨑:「Sechstant CDP」はリブランディングしただけではなく、さらなるバージョンアップを進めています。これまで多くの導入企業さまに活用していただき、多くの学びを得ました。「Sechstant CDP」をECやOMOの担当者だけではなく、経営者やマーケティング担当者などさまざまな役割の方が活用できるようにダッシュボードを進化させます。
当社グループが提供するビジュアルマーケティングツール「visumo(ビジュモ)」やレビュー最適化ツール「ReviCo(レビコ)」など、他のマイクロサービスとの連携も強化する計画です。各ツールの閲覧ユーザーのデータを深堀りすることで、ツールの効果を高めたり、CRM施策に生かしたりすることができると考えています。
「Sechstant CRM」では近々、カートリカバリー機能を実装します。カゴ落ちしたユーザーをフォローするためのメッセージング機能を提供し、購入促進につなげます。
さらにウェブ接客機能を搭載する予定です。現状はメールやLINE、アプリへの配信機能がメインですが、ECサイト上でアクションを起こせるようなウェブ接客機能を追加します。
両ツールとも顧客企業さまの声を反映し、今後もさらに進化させていきたいと考えています。
「Sechstant」https://sechstant.jp/「ecbeing」https://www.ecbeing.net/