2022.01.19

【記者座談会 2022年EC業界予測<3>コンプライアンス編】進む規制、求められる柔軟な対応


企業も敏感に反応


高野:特商法や薬機法については、企業も敏感になっている。つい最近の事例としては、化粧品EC大手のプレミアアンチエイジングの決算短信において、「通販チャネルにおいては、改正薬機法および、改正特商法に伴うガイドラインに対応するべく、社内規定を改定して、広告表現の見直しを行った」という趣旨の記述があった。「それによって、潜在顧客とのコミュニケーションに制限がかかり、新規顧客獲得に必要となる広告投資が抑えられる結果になった」という旨の記述もあった。

ある化粧品EC企業の代表は、「薬機法の改正については、思うところがある。社内の広告チェックはそもそもかなり厳重なチェックをしていたが、改めてチェック体制を見直した」と話していた。

司会:アフィリエイト広告への規制はどうか。

高野:アフィリエイト広告に対する法整備も進んでいる。2021年6月から、消費者庁は「アフィリエイト広告等に関する検討会」を開催している。悪質なアフィリエイト広告への対策の方向性を示すという内容だ。

現時点で明らかになっている内容としては、①問題のアフィリエイト広告に対する法執行 ②アフィリエイト広告の管理方法 ③官民共同による情報共有体制の構築――の3点がある。

これは悪質なアフィリエイト広告の使い方をしている事業者や、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)事業者をどんどん取り締まっていこうというものだ。

検討会の議論の着地点としては、景品表示法の規制をさらに強化したり、新しいルールを作るというよりも、既存の景表法や薬機法、特商法の範囲内で、どんどん執行していこうという形になるのではないか。

アフィリエイト広告については2021年11月、インスタグラムの投稿内容が初めて景表法違反を指摘されたという事例が出た。既存の法律や、検討会で議論中の内容が今後、どんなふうに規制強化に向けて機能していくのかが注視すべきポイントになる。

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