2021.12.27

【自治体のDX化を支援するギフティ、コモニー】デジタルプラットフォーム活用で自治体・事業者・ユーザーの三方にメリット


全国の地方自治体では、地域経済の活性化を目的に、DXを推進する流れが加速している。デジタルプラットフォームの活用が進んでいるようだ。例えば、ある自治体では、デジタルギフトや電子チケットの仕組みを基に開発されたソリューションを、地域の事業者に活用してもらっている。プレミアム付商品券をデジタルで地域住民に購入してもらうなどして、地域経済の活性化を図っているのだ。同様の地域活性化の取り組みを行う自治体は増えている。eギフトプラットフォーム事業を展開するギフティでは、地域通貨の電子化サービスを2016年にリリースしたのを皮切りに、さまざまなプラットフォームを提供することを通して、「自治体のDX」を支援してきたという。DXにより、ユーザーの利便性は高まる。その結果、域内外の消費が活性化することが多いという。自治体にとっては、税金を効率的に活用できるようになるというメリットもあるようだ。プラットフォームに、多様な決済手段を盛り込めば、ユーザーの参加のハードルを下げることもできるという。地域活性プラットフォームを提供するギフティとコモニーの2社に、「自治体のDX」支援について聞いた。



【ギフティ 執行役員 森悟朗氏】

e街プラットフォームを地域のインフラに


――ギフティのこれまでの展開について教えてください。

ギフティは、eギフトの発券から流通・販売までを一気通貫で提供するデジタルプラットフォームを展開しています。2014年にコーヒーチェーンのスターバックス コーヒーが導入して認知が拡大しました。現在では、約176ブランド(2021年9月末時点)の商品が利用でき、個人向けeギフトサービス「giftee」のユーザーは約178万人(2021年9月末時点)に及んでいます。顧客向けのインセンティブ施策として、法人向けのeギフトサービスも展開しており、東証一部に上場するまでに当社の事業を評価いただけるようになりました。


ギフティ 執行役員 森悟朗氏

――ギフティのプラットフォームの地域振興への活用事例について、教えてください。

6年ほど前までは、「地域通貨や商品券のデジタル化」という考え方やサービスは、まだ一般的ではありませんでした。2016年に、長崎県の地域商品券の電子化事業に当社のサービスを採用いただき、その後、地方自治体のDX支援の実績を徐々に蓄積してきました。

当社は自治体や地方企業・団体を支援するデジタルプラットフォームとして、「e街プラットフォーム」を構築しています。メイン機能である地域商品券を電子化するソリューション「e街ギフト」を軸に、紙の地域通貨の電子化や、電子チケットによるキャッシュレス化などのソリューションを提供しています。電子チケットは、バス・タクシーの乗車券や、文化施設・観光施設の入場券などが対象です。

電子通貨や商品券などの認証方法は、自治体や取扱店のニーズに合わせることができます。電子チケットの、店舗などでの決済も簡単です。スマホ画面に直接押すだけで簡単に利用済みにできる電子スタンプを用意することもできます。スマホでQRコードを読み取る方式にすることもできますし、その自治体に合わせた専用の端末を設定することもできます。

昨年には、政府の国内観光産業支援事業「GoToトラベル」の地域共通クーポンのシステム基盤として、当社の「e街プラットフォーム」の仕組みが採用されました。「GoToトラベル」では、47都道府県がそれぞれ、地域共通クーポンをデジタルと紙の両方で発行しました。47都道府県すべての電子クーポンで、当社のプラットフォームの仕組みが活用されました。

――「旅先納税」という地域活性ソリューションもあると聞きました。

当社は地方自治体のDX支援を検討する上で、地域経済への還流や、「地産地消」という考えを重視しています。当社の「旅先納税」のサービスの仕組みは、地産地消に大きく貢献すると考えています。

「旅先納税」では、旅行者に、ふるさと納税の返礼品として、旅行先の自治体で使用できる電子チケット「e街ギフト」を提供します。提供された電子チケットを、すぐに地域のお店で使うことができます。旅行者は、旅行先の自治体で、専用サイトからふるさと納税に寄付すれば、その場でチケットを受け取ることができます。そして、すぐに地域のお店で使うことができるのです。すぐに利用してもらうためには、即時性が高いことが重要なので、旅先納税の決済の仕組みには、DGフィナンシャルテクノロジーのクレジットカード決済サービスを導入しています。

今までのふるさと納税のメイン流通チャネルは、ネット上で商品を選択し、配送手配をするというもので、一種の「カタログショッピング」になっているという側面もありました。スタートから13年が経過し、ふるさと納税はますます活発になってきています。その一方で、コロナ禍で疲弊する地域のサービス業や飲食店などは恩恵を受けられないという課題もありました。

「旅先納税」であれば、その地域ですぐに、食事やサービスなどの体験ができます。「地産地消」にもなりますし、観光産業の誘致につながる可能性もあります。これまでになかった新しい仕組みだと考えています。

旅先納税の仕組みを導入している自治体では、店舗でのe街ギフトの決済に、電子スタンプを活用いただくことが多いです。地域のお店では、ユーザーのスマホ画面に電子スタンプをポンと押すだけで、認証が完了します。長崎市の朝市で、お年寄りが一人で営んでいるお店で導入された実績があります。ITリテラシーが高くない、地方の中小事業者でも、負担が少なく、自治体の地域振興に参加できます。



コロナの影響が落ち着いても、地域振興において、デジタル化の流れはますます加速すると思います。紙で各種デジタルの券面を流通させる場合、誰が・いつ・どこで・どのように利用したか、などのデータを蓄積することは困難でした。また、取得可能な必要最低限のデータは、精算に利用されるのみで、利活用されることはありませんでした。中長期を見据え、今後SDGsな世界を目指す地域が増加する中で、DXにより、即時に取得・可視化されるデータは、地域の現在を知り、将来の方向性を決めるチェックポイントとしても重要となります。自治体を皮切りに、各地域を支える民間企業とも連携し、「e街プラットフォーム」を地域のインフラとして定着させたいと考えています。

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