相談の数よりも内容をしっかりと把握
――取引相談窓口には、どんな相談や情報提供が寄せられているのですか?皆川:2022年度、オンラインモール利用事業者向けの取引相談窓口には、合計で2045件のご相談・情報提供が寄せられました 。この情報提供は、ネガティブな問い合わせだけではなく、ポジティブな内容や不明点を確認する内容も含みます。
【オンラインモール利用事業者向け相談窓口の相談件数の内訳】2022年度の情報提供の内訳としては、「商品等提供利用者(利用事業者)からの苦情の申出、 又は協議の申入れをするための方法に関する事項」の件数がもっとも多くなっています。利用事業者がたくさんいることから迅速・平等な対応をするために画一的な対応も一定程度必要だとも思いますが、デジタルプラットフォームが、個別の事情に応じてきめ細やかに対応できるかは注視すべきところだと考えています。
同じくらい件数が多いのが、「取引条件の変更に関する事項」となっています。2022年度の大臣評価でも「一定程度は事前開示が進んでいる」と述べています。変更がある場合、新旧対照表を作っているデジタルプラットフォームもあります。
ネガティブ情報もポジティブ情報も含まれていますので情報提供件数が多いからといって必ずしも悪い方向になっているということではないですが、逆に件数が少ないからといってもたまたま相談が少ないだけの可能性もありますので問題がないということでもないと捉えています。
――具体的には、どのような相談が寄せられているのですか?皆川:例えば、返品・返金、アカウント停止など常に一定数ある相談もありますが、半年くらいのスパンで相談の内容の傾向が変化している印象です。いわゆる相乗り出品に関するご相談が多かった時期がありましたし、最近ですと無在庫転売の取締りに関する問い合わせも増えている印象です。
仙田:規約に抵触するという理由で商品情報が削除されたが、利用事業者としては問題ないと認識していて相談された事例もありました。売上金の支払い留保に関して、解除を求めているが進展がないと相談してこられた事例もあります。
皆川:ご相談の中には、透明化法にもとづいて指定している「アマゾンジャパン合同会社」、「楽天グループ株式会社」、「LINEヤフー株式会社」の提供するデジタルプラットフォーム以外のデジタルプラットフォームに関する相談もあります。
透明化法の対象外のプラットフォームに関するご相談であっても、例えば、JADMAの有するこれまでの知見を生かしてのアドバイスや、別の相談窓口を案内することなどもあります。そのような相談についても、将来政策などにつながる可能性もありますので、われわれとしても参考になります。
相談料は無料ですし、フリーダイヤルなので電話代もかかりません。HPにはwebフォームも設けております。「デジタルプラットフォームを利用していて困っているから電話してみよう」という気軽な気持ちで利用していただければと考えています。
また、取引相談窓口のからヒアリングへの協力のお願いをしております。出店者の皆様の声をもとにモニタリング・レビューをすすめていますので、もし協力要請があった場合には、業界全体を良くするため、是非とも協力いただけますと幸いです。
――透明化法に関する今後の展望は?仙田:デジタルプラットフォームのビジネスは、技術の進展とともにビジネスモデルが変わっていきます。ある年度は問題がなかったから、次年度も問題がないというものではありません。継続的にモニタリングしていくことが大事だと考えています。
経産省としても、初年度の大臣評価を終え、2年度目の評価に向けたモニタリングに取り組んでいるところです。モニタリングの手法についても、確立されているものがあるわけではなく、過年度の経験を振り返りながら、より良いモニタリングの在り方を追求していく必要があると考えています。
■デジタルプラットフォーム取引相談窓口(オンラインモール利用事業者向け)https://www.online-mall.meti.go.jp/