2023.11.16

【年間2000件超の情報提供】経産省にデジタルプラットフォーム取引相談窓口(オンラインモール利用事業者向け)の利用メリットを聞いた

経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 デジタル取引環境整備室 室長 仙田正文氏(左)、法令専門官・弁護士 皆川征輝氏(右)


経済産業省(経産省)は、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(以下「透明化法」)」の実効的な運用を図るための手段の一つとして、デジタルプラットフォームの利用事業者向けのデジタルプラットフォーム取引相談窓口(以下「取引相談窓口」)を設置している。2022年度は全体で3000件超、オンラインモール分野だけでも2000件超の情報提供が寄せられ、相談者に対してアドバイスするだけではなく、デジタルプラットフォームの活動をモニタリングしていく上での貴重な情報源となっている。相談窓口を活用する利用事業者のメリットや、提供した情報がどのように生かされているかについて、商務情報政策局 情報経済課 デジタル取引環境整備室の仙田正文室長と、法令専門官・弁護士の 皆川征輝氏に聞いた。



――改めて「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」の設置背景を教えてください。

皆川:デジタルプラットフォームは利用事業者の販路拡大などのメリットがある一方で、デジタルプラットフォームと利用事業者の間でのさまざまな問題が生じていることから、2020年5月に透明化法が成立し、2021年2月に施行しました。

対象となるデジタルプラットフォームは、オンラインモール分野及びアプリストア分野に、2022年からデジタル広告分野が追加となっています。

この透明化法の実効的な運用を図るための手段の一つとして、デジタルプラットフォームの利用事業者(出店者、デベロッパー、広告主など)向けに、取引に関する課題や悩み、相談に専門の相談員が無料で応じ、アドバイスをするため、取引相談窓口を設置しました。

オンラインモール分野の取引相談窓口は、経産省の委託事業として、現在、公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)が運営しています。

仙田:いただいた相談に適切に対応することはもちろん、取引を巡る横断的な課題に対応し、市場全体を発展させていく観点が大事だと考えており、取引相談窓口の取組もそこを目指しています。


相談者に寄り添うことが第1使命


――取引相談窓口を利用することで、利用事業者側が得られるメリットは?

皆川:相談者に寄り添うのが最も重要な使命だと考えています。相談内容に対してこれまでの相談事例に基づく知見や、オンラインモールの規約などに基づき、アドバイスをしています。

また、相談内容によっては、オンラインモールに問い合わせることもあります。なお、問い合わせる際には相談者の意思を確認し、了解を得られた場合のみ実施しています。安心して相談していただけるように情報管理は徹底するようにしています。

われわれは、JADMAから報告を受けた相談件数だけを見ているのではなく、毎週、JADMAとミーティングを行い、内容を把握するとともに、対応策について話し合っています。定期的なミーティングだけでなく、ホットラインでつながっていますので、緊急対応することもあります。

対応にあたっては、オンラインモールの採った措置等が透明化法の義務・理念に則ったものになっているか検討します。「規約変更に関する理由がきちんと記載されているのか」「オンラインモールが新しい措置をするにあたって、一方的な判断をしていないか」「個別事情を無視して定型的な対応に終始していないか」などです。

もちろん結果としてデジタルプラットフォーム側の対応が正しいということもありますが、それでも出店者の皆様の理解を得られなったことについては説明方法などにアナウンスの余地があるということだと思います。また、事案によっては、デジタルプラットフォーム側の理解を得て、対応が見直されたというケースもあります。

また、個別の対応にとどまらず、取引相談窓口に寄せられた声は、モニタリング・レビューという政府によるモニタリングの仕組みにも生かしています。


▲経済産業省 商務情報政策局 情報経済課 デジタル取引環境整備室 法令専門官・弁護士 皆川征輝氏

――「モニタリング・レビュー」とはどのような仕組みですか?

仙田:取引相談窓口に寄せられた情報と、毎年度5月末までにデジタルプラットフォーム提供者が提出している報告書を基に、「モニタリング会合」を実施しています。「モニタリング会合」では、プラットフォーム提供者に求める運営改善の方向性を有識者や利用事業者の業界団体に議論していただいています。その議論いただいた内容を踏まえて、経産大臣が評価を行うという流れになっています。

デジタルプラットフォームは、評価結果を踏まえて、運営改善に努める義務が課されていますので、利用事業者の声がしっかりと政策に反映されています。

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