2023.10.13

ユニクロが古着?!ポップアップで古着販売をテスト 今後の展望を責任者に聞いた

ユニクロ グローバルマーケティング部 サステナビリティマーケティングチーム シェルバ英子部長


今後の展望は未定、まずは古着を楽しんでもらえるか


今回の古着プロジェクトについて、ポップアップストア後の展望を責任者であるユニクロ グローバルマーケティング部 サステナビリティマーケティングチーム シェルバ英子部長に聞くと、「今後の展望は未定です」と返ってきた。

今回のプロジェクトの狙いについては、「私たちは2006年から全商品を対象に回収し、多くはリユースで難民キャンプに送るというプロジェクトをやっている。2021年に『LifeWear=新しい産業』と位置付け、サステナビリティの新しい目標を掲げた。もの作りをしていくというサークルと、もう一つのサークルで循環型ビジネスを目指していく構想の中で、回収した衣料を人道支援だけに活用するのではなく、素材として新しい服を生み出したり、今回のように古着で販売することで、循環型ビジネスモデルをいかに完成できるかを目指している」(シェルバ英子部長)と説明する。

ユニクロ流の古着ビジネスでは、商品の品質や付加価値の提供にこだわっている。

「古着は非常に難しくて、単に売るだけだとメルカリさんと変わらない。いかに付加価値を付けるか、を考えている。以前からお付き合いのあった小松マテーレさんの技術力を生かしたり、東雲にある自社工場でカシミアを洗って毛玉を取り除いたりすることで、ユニクロとして品質を担保した上で、お客さまに驚きのある付加価値も提供したいと考えている」(同)と話す。


▲アオイヤマダさんを起用したビジュアル

「『循環型ビジネス』を目指すと、お客さまに言っても『え?』という感じだと思う。やっぱりファッションとして楽しいし、着たいと思っていただけるのが大事。今回も原宿でポップアップをやったり、若い方に人気のアオイヤマダさんにかっこよくスタイリングして古着の楽しさを伝えたり、ワッペンを付けてアクセントにしてもらったり、敷居を低くして、楽しみながらサステナビリティの取り組みに賛同してもらう仕掛けを作れたらと考えている」(同)と話す。


スモールスタートで検証重ね、スケールアップを狙う


今後の展開は未定だというが、今回のトライアルを生かし、新たなビジネスとして拡大できるか検証を重なるという。

「サステナビリティに絡む取り組みは、一回始めたらやり続けないといけない。リペアスタジオ『RE.UNIQLO STUDIO』もトライアルの連続の中で、ようやく全世界に展開できるようになってきた。サステナビリティの取り組みでは、スモールスタートでやってみて、いくつかの検証をした後に、大きくスケールアップしていくことを大事にしている」(同)と話す。

今回も期間中、スタッフがポップアップストアに張り付き、お客さまから、さまざまなことをヒアリングしたいと考えている。



古着を販売することで、新品が売れにくくなるのではないか、という問いに対しては、「売れなくなるんじゃないかと言われたりもするが、新しい循環型のビジネスモデルを宣言した中の一つのチャレンジでもあるし、新しいチャンス開発としてポジティブに考えている。若い方が比較的に、古着に対する抵抗感が少なく、世の中にSDGsの考え方が浸透していることも前向きに捉えている。古着の販売が、来店動機になり、新しい服も買いながら、古着も買うということも成り立つ話だと思っている」(同)と答えた。


ビジネス化に向けて回収方法から見直す可能性も


今後の展開については、検証を重ねながら方向性を見出していくというが、「実際に(古着販売を)ビジネスにしていくとなると無償でお預かりしているものを、買い取りに変更するのかなど、仕組みを見直す必要がある。その見極めはどこかでやっていかないといけない」(同)と話す。



今回の古着プロジェクトでは、人道支援や災害支援などの目的で顧客から回収している服を活用しているため、ポップアップで生じた利益はすべて渋谷区の社会福祉協議会に寄付するという。今後、古着販売の可能性を見極めながら、スキーム練り直していく考えだ。

「私たちは循環型ビジネスモデルを目指すと2021年に宣言した。今のビジネスモデルのままではアパレル産業は生き残っていけないと思っている。古着もその目標に向けた取り組みの一環として、前向きに挑戦していきたい」(同)と語る。






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