2023.08.22

【2023年夏版】「通販売上高ランキングTOP523」発表 会員限定で売上TOP100を公開


「日本ネット経済新聞」の姉妹紙である通販・訪販の専門紙「日本流通産業新聞」が集計した「通信販売・通信教育売上高調査〈夏季〉」によると、上位523社の合計売上高は11兆5631億8200万円だった。前期との増減率が分かる179社で算出した実質成長率は、15.6%増となった。増収企業は129社、減収企業は58社だった。多方面のコスト上昇や、消費者のオフライン回帰などで苦戦する企業もある中、確実に増収につなげている企業もある。



【ランキング分析】


売上高上位50社のうち、2桁増収した企業はアマゾン、MonotaRO(モノタロウ)、ニトリ、ビィ・フォアード、トラスコ中山、ワールド、パル、ファーマフーズの8社だった。

売上高1位のアマゾンは、米アマゾン・ドットコムの2022年12月期における日本事業の売上高243億9600万ドルに対して、2022年の平均為替レート(1ドル=131円)で円換算して掲載した。マーケットプレイス出品手数料や、有料会員サービスの年会費などの売上高を含んでいる。

アマゾンが日本でも確実に成長できている要因は、「配送スピード」「商品数」「アマゾンプライム」の3点だろう。日用品から食品まで幅広く取り扱い、さらに注文から1~3日間で届く。さらに「アマゾンプライム」に加入していると、追加の送料負担なくスピード配送を利用できる。

「アマゾンプライム」は、映画などのコンテンツを視聴することができる。商品数と配送の品質と娯楽という3点のブラッシュアップを続けた結果、高い成長を継続している。


品ぞろえと提案力に強み


MonotaROの2022年12月期における連結売上高は、2259億円超となった。時価総額は約1兆円に伸長した。伸長理由は「ロングテール商品の品ぞろえ強化」と「レコメンドでの商品提案」だという。

モノタロウは2000万点の商品数をそろえている。ネット検索などで商品がヒットし、「モノタロウに商品があったから購入する」というユーザーを増やしている。併行して、SEO対策やウエブ広告なども強化している。マーケティングの精度を高め、顧客と商品の接点を増やしている。

レコメンド提案では、一度購入した顧客のデータを裏側で管理し分析している。常に顧客に最適な商品を提案し、顧客体験を高めることでリピーター施策につなげている。


ライブコマースで関係強化


ニトリはライブコマースの配信に注力し、既存顧客との関係性強化を図っている。ニトリは実店舗を中心にアプリ会員を拡大しており、その数は1601万人(2023年3月時点)を超える。アプリ会員にならずに商品を購入する人も多く、顧客基盤はさらに巨大だ。

ライブコマースで「快眠サポート特集」や「新生活お薦めベッド特集」など、季節のニーズに対応した企画を実施し、興味を持ってもらうことを目指している。割り引き価格で購入できるクーポンなどを配布することで、商品の購入につなげている。


SNS発信で購入を促進


パルはSNSの活用で売り上げを伸ばしている。スタッフ約1700人がSNSの個人アカウントで情報を発信。全アカウントを合計したフォロワー総数は、1000万人を突破している。

SNSの投稿で、特に反応の良かった商品について、さらに集中的に発信する仕組みも構築している。

SNS投稿を行うスタッフの評価システムも設けている。「成果報酬」のインセンティブなどを採用し、スタッフの自発的な投稿を促している。

増収した企業は、各社さまざまな方法で売り上げ拡大につなげている。「商品」「ライブコマース」「SNS」などは、多くの企業が注力しており、奇をてらった手法ではない。どちらかというと基本に忠実だといえる。しかし、増収企業は「この分野ではどの企業にも負けない」という強いこだわりを持っている。

今一度、「どの分野で、他社に負けないくらい突き詰めることができるか」を考えることが、通販事業の成長につながる近道かもしれない。

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