2023.08.19

【有力通販インタビュー】ファンケル 村岡健吾上席執行役員「豊富な商品群そろえクロスセル強化」

ファンケル 上席執行役員 通販営業本部 部長 村岡健吾氏


ファンケルの2023年3月期の個別業績における通販売上高は、前期比2.1%増の約425億円で着地した。幅広い化粧品・健康食品の商品を展開して、顧客のニーズに対応することにより、自社ECやECモールでの販売が、成長を続けているという。同社の上席執行役員・通販営業本部部長の村岡健吾氏に、2023年3月期の総括と、今後の取り組みなどについて聞いた。



――通販事業の業績について聞きたい。

2023年3月期の通販売上高は、前期比2.1%増の約425億円となった。コロナ禍が追い風となり、通販事業は一定程度伸長した。

同期の通販事業の売り上げにおいて、「自社通販(自社ECや、カタログからの電話注文)」は約8割、「外部通販(ECモール)」は約2割を占めている。

成長の要因としては、①主力商品が堅調に推移した ②定期購入の登録者数が増加した ③外部通販が伸長した――の3点が挙げられる。

――主力商品についても聞きたい。

化粧品の主力商品の1つは「マイルドクレンジング オイル」だ。基礎化粧品では、「エンリッチプラス」シリーズや、3月にリニューアルした「ブライトニング」シリーズなどが人気だ。基礎化粧品を窓口にして獲得した顧客は、最もロイヤルティーが高まる傾向があるのも特徴だ。「洗顔」カテゴリーはバリエーションがあり、2022年5月に新発売した洗顔料「泥ジェル洗顔」などが好調に伸びた。

2023年3月期の下期(2022年10月―2023年3月期)からは、小売店舗においても通販においても、ポイントメークやベースメークなど、メーキャップ分野の商品の動きが出てきた。

サプリメントなど健康食品については「カロリミット」「えんきん」などのスター商品を、定期購入を中心に展開している。

――定期購入が伸長したのか?

通販事業の売り上げの内、半分近くが定期購入だ。定期登録者数を前年より1割ほど増やすことができた。継続して購入いただくお客さまが増えたため、安定的に売り上げを伸ばすことができた。


強みは自社インフラの活用


――外部通販の成長の要因は?

チャネルごとにマーケティングを展開し、自社サイトとは異なる客層に、それぞれ適切なアプローチができたことが、成長の要因になったと考えている。

ECモールの売り上げは、コロナ禍に入ってから毎年、約15~20%の成長を達成している。

ECモールでの展開における当社の強みは、自社のインフラを活用できる点にある。「ECモールならではのCRM・顧客分析ができる」「ターゲットの拡張性があり、クロスセルを行える」といった点が強みだと考えている。ECモールで継続的に購入してもらうことや、クロスセル・アップセルしていくことについて、PDCAを回しながら、試行回数を重ねられている。

顧客データを自社で持ち、自社の物流拠点から配送を行っている。その際に、紙の同梱物を入れ、アマゾン以外のECモールでは、商品のお知らせを行い、併売を促進できている。ファンケルの自社ECよりもできることは限られれるが、ECモールにおいても自社で工夫を行い、”直営”の強みを生かしている。

――新規獲得のため、どのような施策を講じているか?

新規獲得は、レスポンス広告を中心に、ウェブ経由で行っている。

一方で、ウェブの獲得効率は、コロナ禍でデジタル広告の出稿量が増え、市場全体でレスポンスが悪化していると感じている。デジタルを筆頭に、通販市場の競争環境が変わった中で、今後改めて、ファンケルらしい強みや、お客さまとのコミュニケーションを再構築していきたいと考えている。そのために、通販と店舗の相互送客や、OMOの施策などを、今後さらに強化していく。

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