2023.04.28

【5年で売上30%の差?!】新規獲得が難しい時代に注目集まる『グロースマーケティング』の実力とは?


コロナ禍にEC市場は成長が加速した。EC事業のさらなる売上拡大を期待する事業者は多いが、個人情報保護法の厳格化、CPM(インプレッション単価)高騰、Cookie規制など新規顧客獲得に対する逆風は強くなっている。こうした状況を考えると新規獲得を中心としたEC戦略には限界があるといえそうだ。大手企業やデジタル先進企業を中心に800社以上のUX向上を支援してきたビービットのセールス&マーケティングマネジャー 生田啓氏は、オンラインセミナーにおいて、「『グロースマーケティング』へのシフトが今こそ必要だ」と語る。「グロースマーケティング」は、データに基づき顧客へのコミュニケーション精度を高め、LTVを向上することで、事業やサービスの持続的な成長を実現する手法だ。一見、ハードルが高そうな「グロースマーケティング」だが、生田氏は限られたリソースでもテクノロジーを有効に活用し、Step by Step(ステップ・バイ・ステップ)で実践することで、将来的に大きな成果を得ることができると説明する。実際、ビービットの支援企業では、非アクティブ顧客の2%の掘り起こしに成功した。「2%」は小さな数字に見えるが、このような休眠顧客の掘り起こしを5年間継続すると、売上高は約30%上昇するというシミュレーションも出ている。新規獲得の難易度が高まるこれからのEC市場において、多くの企業が注目する「グロースマーケティング」の「具体的な手法」「導入手順」「期待できる成果」など、生田氏の講演内容をまとめた。



「グロースマーケティング」とは何か?


生田氏は新規獲得を中心にEC事業の成長を図る取り組みは限界を迎えていると説明する。



「消費者意識や行動の多様化により、従来のマスアプローチが効果を発揮しづらくなっています。さらに、人口停滞や個人情報保護の厳格化によるマーケティング精度の低下などにより、新規顧客の顧客獲得コストが上昇しています。ある米国企業の調査では、この4〜5年で新規顧客の獲得コストが1.5倍以上になっているというデータもあります。皆さんのECサイトにおいてもROI(投資利益率)が悪化しているのではないでしょうか」(生田氏)と問いかける。

これらの逆風を考慮すると、新規獲得型マーケティングから、購入後の顧客に焦点を当てた持続的な成長やLTVを重視したマーケティングへとシフトする必要があるという。

「この購入後の顧客に着目し、成長を遂げていくマーケティング手法を『グロースマーケティング』と呼んでいます」(生田氏)と話す。

既存顧客からの売上向上を図る「グロースマーケティング」は大きな可能性を秘めている。



「このグラフは当社が支援した、ある企業さまのサンプルです。左側の『購入者分布のグラフ』を見てみますと、買っていただいた方の8割は1回しか買っていません。2回以上買った方は2割しかいないことが分かります。一方で右側の『全体売上に占める割合』を見ていただきますと、1回しか買ったことがないお客さまは、数の割に売上は全体の半分ほどにしかなりません。逆に複数回買っていただいた方だけで売上の残り半分を占めています。特に3回、4回と買っていただくお客さまは、全体の7%しかいないのにも関わらず売上としては3割近くを占めています。この複数回買っていただく方を少しでも増やすことができれば、全体の売上に対するインパクトは『非常に大きい』ということがこのグラフから読み解くことができます」(生田氏)と説明する。


「グロースマーケティング」に必要な売上の方程式とは?


グロースマーケティングを実践するためには、売上の方程式を従来から見直し、新しいKPIを設定することが必要だという。



「従来のマーケティング方程式では、『売上高=集客数×コンバージョン率×購入単価』によって決まりますが、グロースマーケティングを意図するのであれば、『売上高=有効会員数×再購買率×平均取引単価』という方程式に変えていただきたいと思います。会員数を増やしていくと同時に再購買率をいかに上げていくかがとても重要になります」(生田氏)と説明する。

【セミナーのプレゼン資料のダウンロードはこちら】
https://netkeizai.com/articles/detail/8820