2023.03.31

次世代技術「3Dバーチャル試着」の可能性は?共同開発するソフトバンクとMNインターファッションに聞く


――既存のバーチャル試着サービスとの違いは?

嘉数:「ユニサイズ」や「バーチャサイズ」という2Dをベースとしたサイズレコメンド主体のバーチャル試着サービスがあります。フィッティングという面では、2Dと3Dの違いはあるものの同じようなサービスが提供できるとみています。

われわれが研究開発している3Dバーチャル試着は、3Dでフィッティング体験ができるので着用時にきつい部分をヒートマップで示すこともできます。アバターの体型に合わせて肩の周りがきつかったり、お腹周りがきつかったりということを視覚化することが可能です。


▲ヒートマップできつい部分や緩い部分を可視化

試着するアバターの髪型や肌色も変えることができるので、より親近感があるアバターを作り、バーチャル試着を楽しむことも可能です。

アバターを動かして洋服の動きを確認することもできます。日常の動作の中でどういった見え方をするのかを客観的に確認できます。アバターを動かしながら360度いろんな角度から確認することも可能です。


▲アバターを動かして確認することもできる

コーディネートを試すことができるのも3Dバーチャル試着ならではだと思います。ブランドが提案したコーディネートを試着したり、利用者が自由に組み合わせを変えたりしながら、気に入った商品を一式購入するといった利用が見込めます。

――アパレル業界でバーチャル試着サービスのニーズはあるのか?

御子柴:アパレルメーカー約30社に対してディープインタビューを行いました。サイズレコメンドに特化した既存のバーチャル試着サービスをすでに導入している企業も多く、一定の効果を感じていました。われわれが研究開発している、よりリッチな体験を提供できる3Dバーチャル試着への期待値も非常に高かったです。

事業全体への課題については、共通して「国内マーケットの縮小」「顧客ニーズの把握」「店舗売り上げ拡大」の3点を挙げている企業が多くありました。

少子化で「国内マーケットが縮小」していく中で、いかに自社のブランドのシェアを高めていくかということを課題に感じており、そのためには「顧客ニーズの把握」が必要だと感じていらっしゃいました。

「店舗売り上げ拡大」については、コロナ禍が落ち着きを見せている中で、実店舗の集客や販売促進をいかに取り組んでいくかということも意識されていました。

われわれのバーチャル試着としても、ECサイトでの利用だけではなく、実店舗においてタブレットでバーチャル試着サービスを提供するニーズもあると感じました。ECでバーチャル試着を体験し、リアルに誘導して実際に試着して購入するといったO2Oの機能も可能性があると感じています。

ーー導入のハードルは?

嘉数:実装面に関しては研究開発中の技術なので、具体的にはこれから検討していく部分があります。ただ、方向性としては簡単に導入できるような仕組みになるように検討しております。

――今後の展開は?

嘉数:リアルを超えた「ココロオドル顧客体験」の創出を目指しています。リアルを再現するだけでは、あまり面白味がないと思いますので、リアルを超える体験を実現したいと思っています。

実際の店舗ではそんなにたくさんの服は試着できないと思いますが、3Dバーチャル試着ではいくらでも試着できます。オシャレが苦手な方でもコーディネートをお薦めしてもらい、試着しながら買い物を楽しむということもできると思います。

実店舗では抵抗感のあるご年配の方や、子ども連れの方にも手軽に試着していただくことができます。アバターの形状はいくらでも変えることができますので、例えばハンディキャップがある方や怪我をした方でも気軽に試着ができると思います。

今後の研究によっては、シミュレーション技術を活用して、1歳の子どもが半年後にどのくらいのサイズの服が合うかを確認することもできると思います。他にもダイエットして10キロ痩せたらこの服が着られるのかを確認することも可能になるかもしれません。

試着体験を楽しく拡張するという発想で、バーチャル試着だけではなく、話題のNFTやメタバースでこの技術を活用することもできると考えています。さまざまなテクノロジーと掛け合わせることで、新しい試着体験を今後、作り出していけたらと考えています。










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