2023.03.31

次世代技術「3Dバーチャル試着」の可能性は?共同開発するソフトバンクとMNインターファッションに聞く


ソフトバンクと大手繊維商社のMNインターファッションは「3Dバーチャル試着」の実用化に向けた研究開発を共同で実施している。新しい技術では、既存の「サイズレコメンド」に特化したバーチャル試着サービスとは異なる、リッチな試着体験をオンラインで提供できるという。3DCGで作成したアバターを用いることで、動いたときの着用イメージを確認できたり、洋服のコーディネートを確かめることもできたりする。将来的にはメタバースやNFTへも応用できる可能性があるという。「3Dバーチャル試着」の開発の狙いや発展の可能性について、ソフトバンク コーポレートIT本部 アドバンスドテクノロジー推進室 クリエイティブ制作課 課長 嘉数翔氏と、MNインターファッション 企画開発部 御子柴良太氏に聞いた。



――「3Dバーチャル試着」を共同で研究開発するに至った経緯は?

嘉数(ソフトバンク):バーチャル試着を研究開発する前に洋服の物理シミュレーションに関する研究を2017年ごろから行っていました。私自身がこのプロジェクトに参加したのは2019年ですが、その時に初めて見た物理シミュレーションの技術に驚いたことを覚えています。物理シミュレーションはとても重い処理を行うものなのに、それがリアルタイムに動いており、これはすごい技術だと感じました。

この物理シミュレーションの技術の活用方法を検討する中で、ゲームや映像分野での活用も候補にありましたが、よりこの技術のインパクトが出せる領域として、アパレル業界向けのバーチャル試着に目を付けました。

3Dバーチャル試着が実用化できれば、ECサイトでサイズ感を確認しづらいという課題を解決できるだけではなく、洋服のコーディネートが選びやすくなり、新たな顧客体験を創出できるのではないかと考えています。


▲ソフトバンク コーポレートIT本部 アドバンスドテクノロジー推進室 クリエイティブ制作課 課長 嘉数翔氏

御子柴(MNインターファッション):当社では2019年12月にアパレル業界向けに3Dモデリング事業を開始しました。もともとはバーチャル試着というよりは、より川上のものづくりにおいて、3DCGのデータが活用できないかという視点で事業を開始しました。

ただ、ファッション業界のデジタル化がなかなか進まない中で、現物のサンプルを3Dに置き換えることに抵抗感がある方もいるのが現状です。思うようにデジタル化や3D化が進まないもどかしさがありました。

川上のものづくりだけにこだわるのではなく、よりアパレル企業が課題だと思っているECなどに3DCGを活用できれば、そのメリットも伝えることができるのではないかと考えました。そのようなタイミングにソフトバンクさんとバーチャル試着について話し合う機会がありました。バーチャル試着が3DCGを活用してアパレル企業の課題を解決できるサービスになり得るのではないかという思いに至り、研究開発に参加することにしました。

ファッション業界では、サステナビリティの重要性も強く認識されており、バーチャル試着は返品や不良在庫を減らすことにも役に立つサービスだと考えています。


▲MNインターファッション 企画開発部 御子柴良太氏

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