2022.12.27

【連載〈第7回〉】いま求められるCRM活動とは?適切にブランドを伝える方法


一貫性のあるブランディングが「ブランド体験」を作る


ブランド体験とは、顧客とのあらゆる接点において、そのブランドの世界観を感じてもらうことだ。

顧客接点はビジネス形態により千差万別だ。例えばEC企業であれば、コンタクトセンターやSNSが主な顧客接点となる。実店舗を有している企業であれば、店舗デザインやスタッフの接客など、顧客接点は数多く存在する。

「ブランド体験」の一例として、米国のスニーカーブランドである「VANS」の事例をご紹介しよう。

VANSは従来、スポーツ、アート、音楽、ストリートカルチャーにまたがる若者文化の創造的な自己表現を促進するメッセージを発信し続けてきた。そのVANSが「VANS “OFF THE WALL”」と題して、あらゆる表現者を支援するブランドキャンペーンを展開した。

絵画やイラスト、音楽、彫刻、映像編集などに携わる表現者のクリエーティブ活動を、同社のWEBサイトで紹介するだけでなく、リアルでの活動に対して支援を行っているのも特徴だ。

また、実店舗の一角に、支援するアーティストの作品を展示するブースを設けたりもしている。

VANSは、次のようなメッセージを発信している。

「私たちはブランドとして、多様な人々、そして彼らのさまざまなクリエーティブなアウトプットをサポートしたいと思った。これこそがVANSのすべてである」

消費者はウェブサイトやテキストだけでなく、クリエイター支援といった活動、店舗でのディスプレイなど、あらゆる接点においてこのメッセージを受け取る。そのすべてが、「ブランドを感じる体験」となり、強い共感を覚えるのである。

ブランド体験として、スターバックスの「丸いテーブル」も有名である。スターバックスがブランドのミッションとして掲げているのは、「家庭でも職場でもない、サードプレイスの提供」である。規則やルールによって縛られたりはせず、心地よい自由な時間を感じられる、自分らしくいられる居場所だ。そのため、一人で訪れた顧客が孤独を感じることがないように、適度な大きさの丸テーブルを設置しているのだ。四角いテーブルに一人で座ると孤独を感じやすいという考え方があり、店舗の備品を通じても、BIを踏襲したブランド体験を提供しているのである。


これから求められる売り上げにつながるCRMとは?


現在は、SNSの普及で、購買前から広告以外のコミュニティーで商品を認知するケースが非常に多くなった。このことから顧客関係管理(CRM)が、今までの「購買後の既存領域」から一気に「購買前の認知領域」に広がった、というのが私の持論だ。これまでも繰り返しお伝えしてきた通りである。

新規購買前の認知領域から、顧客との関係性を強化し、お客さま一人ひとりに、より長く愛され、より多く購入し続けてもらうことが、これからの時代を乗り越えていく上で鍵になるのではないだろうか。






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