2020.04.02

【インタビュー】米D2CのAllbirds、原宿店は売上世界一 返品・交換無料のECで成長加速

蓑輪光浩マーケティングディレクター(写真左) 石井孝憲ECシニアマネージャー


30日間返品に対応


――4月1日から開始するECへの期待は。

簑輪:4月からECが始まることで、今まで東京でしか買えなかったアイテムが、全国に広がっていくことをとても期待しています。

石井:現在、並行輸入品がアマゾンなどでも販売されていますが、価格は通常の販売価格より1万円くらい高く売られています。直営のECサイトができれば、適正価格で購入できるため、多くの方が待ち望んでいると考えています。

われわれはグローバルでも価格差をなるべくなくすようにしています。どこで買っても変わらない世界観を目指しています。ブランドによっては欧州が一番安く、米国が次に安く、中国と日本は一番高いというケースもあります。もちろん地域によって流通コストが異なりますが、当社ではそれを吸収して、グローバルで変わらない体験を提供したいと思っています。

――海外でもリアル店舗からスタートし、ECも展開する流れなのですか。

簑輪:米国で立ち上げたときは、ECからスタートし、ポップアップを開設するなどしてリアル展開を進めていきました。日本ではさまざまな理由がありますが、お客さまが商品を見て、触って、履いてから購入する商慣習が強いという点を考慮しました。

――ECサイトはどのようなサイトになりますか。

石井:米国同様、「Shopify」でサイトを構築します。サイトのデザインやコンテンツはグローバルで変わりません。世界中どこでも同じようなサービスを提供するというのがモットーです。決済方法や配送方法は日本に合わせたサービスを提供していきます。

米国でも提供している「30日間の返品・交換サービス」を日本のECサイトでも提供していきます。


4月1日に開設したECサイト


1つのシステムで運営


――リアル店舗とECサイトにおけるシナジーはどう発揮しますか。

石井:「Allbirds」では、システム自体がリアル店舗とECサイトで統一されています。つまり「Shopify」をリアル店舗のレジシステムとして導入しています。そのため、リアル店舗で購入し、登録したお客さまは、ECで会員登録する必要はなく、過去の購買情報を確認したり、購入した商品のサイズを確かめたりできます。逆もしかりで、リアル店舗で登録してあるメールアドレスを言っていただければ、ECサイトで購入した情報を参照できます。

リアル店舗の在庫が切れている場合、その場でECサイトに注文していただければ、お客さまの自宅に届けることができます。今後、ECサイトで注文した商品をリアル店舗で受け取るサービスも提供できるようにしたいと考えています。われわれにとってもシステムが1つなので、情報が一元管理できている利点があります。リアルもネットもお客さまの購買情報を把握できるので、相互利用されているかなど見ていきたい。

箕輪:リアルとECでは経験の質が違うと考えています。ECはデジタルで完結しますが、リアルはタンジブル(触れることができる)です。リアル店舗ではブランドのブローシャー(冊子)がもらえたり、店舗オリジナルのシューレースをもらえたりします。顧客や地域のコミュニティーを大事にしたいので、新型コロナウイルスが落ち着いたら、リアル店舗でイベントを開催したいと準備を進めています。

さらにわれわれは、広告ではないお客さま発信のコンテンツを出していただけるかを重要視しています。リアル店舗では来店したことも含めて投稿していただけるケースが多いと思っています。

――ECサイトでの接客はどのように考えていますか。

石井:ECサイトでは電話やメールでの問い合わせ対応に加え、ライブチャットでスタッフが対応する予定です。ECでは商品を実際に触ったり、試し履きはできないので、その点をフォローしたり、返品・交換できますということも伝え、購入までの障壁をなるべくなくしていきたいと思っています。


「Allbirds」

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