2020.04.02

【インタビュー】米D2CのAllbirds、原宿店は売上世界一 返品・交換無料のECで成長加速

蓑輪光浩マーケティングディレクター(写真左) 石井孝憲ECシニアマネージャー


顧客の声集める仕組み


――サステナブルな取り組みは製品開発のみですか。

簑輪:日本ではまだですが、どんな理由でも30日間は返品・交換を受け付けるサービスを提供しています(ECサイトで実施予定)。そうするとどうしても返品が集まってきてしまいます。中にはリセールできないアイテムもあります。そのようなアイテムをコミュニティーに還元できるようなアプローチもしています。

シューズボックスは90%がリサイクル素材で製造しています。2つ穴が空いているのですが、そこにシューレース(靴ひも)を通すとそのまま持ち帰ることができます。これもショッピング袋を使わないように配慮した取り組みです。

こうした取り組みが評価され、俳優であり、国際連合から気候変動問題を広める平和大使にも任命されているレオナルド・ディカプリオ氏や、スターバックス元CEOのハワード・シュルツ氏らが投資家として名を連ねています。

――顧客の声はどのように吸い上げているのですか。

簑輪:当社ではリアル店舗でもお客さまに紙のレシートは発行せず、電子レシートをメールで送付しています。そのため、お買い上げの際に、お客さまのメールアドレスをいただいています。購入後にメールでNPS(ネットプロモータースコア)のアンケートをお願いしています。他にも店舗接客やコールセンター、SNSなどで世界中から集めたフィードバックをもとに、経営陣を含めて定期的に会議を開き、イシュー(課題)を洗い出しています。

石井:かつてコールセンターに爪先の部分が破けるというクレームが入ったことから、爪先部分の強度を増したという話を聞きました。さまざまなチャネルでお客さまの声を集めています。


IT業界から魅力広まる


――素晴らしいコンセプトを持っていても消費者に広く伝えるのは難しいと思います。「Allbirds」はどのように広まっていったのですか。

簑輪:シリコンバレーの起業家やIT業界の方たちが最初に反応したのが大きかったと思います。サンフランシスコのスタートアップとしてスタートし、投資を集める際にシリコンバレーでもさまざまな人に声を掛けていて、プロダクトの魅力が伝わったのだと思います。アップルのティム・クックCEOのようなオピニオンリーダーの方たちが「Allbirds」を履いていただいていると、それを見た周辺の方たちもプロダクトに興味を持っていただくことができ、その輪が広がりました。

シンプルで快適なスタイリングを好むIT業界の方たちに「Allbirds」のコンセプトや履き心地、デザインが共感を得たのだと思います。IT業界の方たちはSNSでの影響力が強く、波及効果もありました。その後、コンセプトやストーリーに共感していただけたハリウッドセレブが愛用してくれたこともインパクトが大きかったと思います。

――日本ではどのような方が店に訪れていますか。

簑輪:日本でもリアル店舗を開設した際に、感度の高い起業家やIT業界の方たちが来店していただけました。中には米国で買ったことがある方もいたり、米国ではやっているのを見て心待ちにしてくださった方もいました。最近では主婦層の方たちも来店してくださっています。

東京の店舗は、「Allbirds」の店舗で世界一売り上げていたニューヨークの店舗より売れています。坪効率もかなり優秀だと思います。

購入していただいた方の中には、「#サステナビリティ」と付けてSNSで発信している方もいて、「Allbirds」のコンセプトに共感していただけているんだということを実感しています。靴の機能性に加え、社会的な文脈を踏まえて購入していただいている方が日本にもたくさんいることが分かりました。


世界一売り上げを上げている原宿店

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