2024.01.25

【楽天新春カンファ2024】三木谷社長「AIエンパワーメントカンパニーへの進化」を宣言 店舗向けAIサービスも発表


商品説明文、画像、顧客対応などにAI活用


AI活用の具体的な成果や、今後、実現を見込む事例などについても紹介した。

三木谷社長は「ウェブページのデザインもかなり変わってくるだろう。今までの平面的だったり、スタティック(静的)なページから、AIを活用することでインスタグラムのような無限にスクロールできるようなインターフェイスに変わるかもしれない」と話す。

さらに、「サーチボックスに検索キーワードを入れるというUXもどちらかというと、非人間的だった。コンシェルジュのように問いかけて、それに答えるというようなUXが当たり前になるかもしれない」(同)とも言う。



「楽天市場」の出店者向けのAI活用では、生成AIを積極的に活用していく考えだ。画像関係、商品説明関係、マーケティング戦略の構築、顧客対応など、多方面で生成AIを活用し、店舗の業務負担を軽減しながら、効率を上げていくという。



具体的には、商品の基本データから生成AIを活用して詳しい説明文を作成できるようにする。AIが作成した説明文を店舗が確認し、必要があれば修正を加えることで、効率的に説明文を完成させることができる。

商品画像においては、背景を使用シーンに合わせて編集・提案することが可能だ。効果の高い背景を選択し、購買率を高めたり、ユーザー属性によって背景を変えていったりするようなこともできる見通しだ。



オペレーションの支援では、日常業務をサポートする「RMS AIアシスタントβ版」を近々、リリースする予定だ。RMS(管理画面)にAI機能を搭載し、自動応答のチャットなどでサポートする。

顧客からの問い合わせ対応ツール「RーMesse」では、AIが顧客対応の回答文章候補の作成、感情分析による問い合わせ内容の分類などを行えるようにする。



店舗分析サービス「R-Karte」では、AIが店舗運営状況の分析・要約や、商品・店舗へのレビューの内容を分析できるようにする見通しだ。

AIが広告クリエイティブをレギュレーションに沿った形で自動生成・提案する機能も開発する構想があるという。


ECCの業務もAIがサポート


楽天の店舗担当社員であるECコンサルタント(ECC)の業務もAIがサポートする。2024年下半期には、AIによるコンサルティング用ツールを強化する方針だ。短時間で効果的なデータ分析と対策シナリオの作成を目指す。

対話型AIを活用した社内FAQを作成し、ECCの業務効率化も図る。


AIで精度の高いマーケティングも実現


マーケティングにおいてもAI活用を強化する。AIやデータを活用し、楽天会員へ精度の高いマーケティングを実現する。購入者のファクトデータを学習・分析することにより、確度の高い見込み客を抽出することが可能だという。

「AIでターゲティングしていくことで、マウスウォッシュの購買CVRが2倍になった事例がある」(同)と話す。



AIやビッグデータにより、物流の効率性を高める独自システムも開発する計画だ。出荷数の予測や作業スタッフ数の最適化、在庫配置の最適化、輸送車両数の最適化、商品の梱包資材の適正化などを実現したい考えだ。


AIを学べる「Rakuten AI大学(仮)」を開校


三木谷社長は、AIを活用する際に、AIへの理解を深めることが必要だという。

「AIエンジニアになることは難しくても、AIを使いこなす、何ができるかが分かるなど、知識を付ける必要がある。AIについて学べる『Rakuten AI大学(仮)』を近日中に発表する予定だ」(同)と話す。




AIも重要だが、人と人のつながりはさらに重要


三木谷社長は、「No AI,No Future」を掲げ、AI活用の重要性を説く一方で、人と人とのつながりや、人のぬくもりの感じるサービスの重要性も強調した。人のぬくもりを感じるサービスの好例として、過去に作成した動画を紹介した。

「楽天はアマゾンさんやヤフーショッピングさんとちょっと違う。人と人のつながりを大切にしている。われわれの原点は、店舗の皆さんを元気にすること。そのことで、消費者の皆さんにも『なんか楽天っていいよね』と思っていただくことができる」(同)と語った。



そして最後に「No AI,No Future but No Human,No Future」という言葉を掲げ、講演は幕を閉じた。





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