2024.01.17

【〈記者座談会〉2024年のEC市場予測】《③ 法規制》ステマ規制対応に追われるEC事業者

ステマ規制でUGCの価値観に変化


星野
:2023年は「ステマ規制」が始まった。

永井:「ステマ規制」は、簡単に言うと、事業者が、インフルエンサーやアフィリエイターなどの第三者に依頼して行う広告で、その広告を見る人にとって「広告である」と分かりづらいものを規制の対象にするものだ。

対応としては、インフルエンサーにPRを依頼する際、そのPRの表示の中に、「広告」や「PR」という文字を、分かりやすい形で明記することがある。アフィリエイトサイトであっても同様の対応が必要になってくる。

黒田:私の取材先も対応に追われるケースが多い。消費者目線で言うと、私も、インスタグラムなどで投稿を見て商品買うことがある。

これまで、インフルエンサーの投稿を見て、「なるほど、この人はこのブランドをよく買っているんだな」と思っていたことがあった。ただ、今回のステマ規制が始まってから、「PR」や「これは広告です」といったことを書くようになったのを見て、「この人は、今まで広告としてやっていたんだな」と思うようになった。ブランドに対してちょっとモヤモヤを感じるようになった。

永井:逆に、SNSで、「PR」表記のない投稿が拡散されているのを見ると、オーガニックの感想であることが分かる。消費者からは、「信頼ができる」という声も上がっている。今後は、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の価値が変化していくと考えている。

星野:商品ページのレビューについても、ステマ規制が関係してくる。例えば、楽天市場などの商品ページで、レビュー件数を基に購入を検討する人も多い。このレビューを依頼する行為が、レビュー内容を指示していた場合、ステマ規制に該当する可能性がある。

ステマ規制に違反した場合、社名が公表される可能性がある。多数の購入客に対して、「こういう内容の投稿をお願いします」というレビュー依頼をしていると、アウトになる可能性がある。

佐藤:商品を購入する際、「誰を信じて買うか」というのが消費者にとって重要だと思う。商品に対して忖度(そんたく)のないコメントをしている人を信じたいが、PRでお金が発生していると、みんながっかりしてしまうと思う。今後は、口コミをどうやって発生させていくか、そして消費者が誰を信じて買うかが重要だと考えている。

黒田:PRではなく、消費者が「本当にいい」と思って投稿して、それがUGCとして拡散されるようになると、確かにUGCの価値観が変わってきそうだと思う。

星野:やはり製品力やサービス内容が問われていくと思う。商品を購入して本当に満足したら、「レビュー書いてください」と言うだけで、いいレビューを書いてくれるかもしれない。



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▲黒田海椰記者

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