2023.10.05

チュチュアンナ、EC売上7%増の10億円強 今期は12億円が目標

靴下や下着などを販売する店舗「tutuanna(チュチュアンナ)」を国内外で564店展開するチュチュアンナ。2023年7月期における売上高は、前期と比べて15億円増の250億円、EC売上高は前期比7%増の約10億円超だった。今期のEC売上高は前期比20%増の約12億円を目指す。
 
同社のEC事業は店舗での接客や情報を生かした施策が特徴。EC売り上げも2020年度は6億7000万円、2021年度は約9億円と毎年成長。自社ECを起点にECモールによる成長戦略も描き始めた。


顧客単価が上昇

 
前期で手掛けてきた戦略として「収益性の強化」「商品戦略」「アプリ戦略」「モール展開」の4つを挙げた。利益を高める取り組みにも注力した。
 
昨年8月末で週末限定の送料無料を終了。「顧客の負担が増えるかもしれないが、送料をもらうようにした」(デジタルマーケティング部 西岡和也シニアマネージャー)と言う。

一方で、送料無料を止めたことで顧客単価が上昇。これまで購入単価の平均は4000~4500円だったが、5000~5500円に上がったという。「現在、送料無料ラインは5500円。(顧客単価の上昇は)このラインの影響もあるだろうが、今後の施策にもつながる可能性を秘める形となった」(同)。
 
送料に関しては、今後の動向を検討していく。


3施策を同時進行

 
販促施策は「商品」「アプリ」「モール」の3つの施策を同時に進行したという。
 
販促は定番で売れる商品に絞って展開。売れそうな商品をまんべんなく販売してきた形から、各ジャンルで売れている上位3商品を提供する形に変更した。
 
「販売アイテムもかなり減らした」(同)と言い、人気上位3商品の在庫を多く積んで広告転換も積極的に行った。商品レビューも積み重なって、リピートにもつながる結果になったとしている。
 
また、公式アプリの販促も重点的に実施した。
 
定期的にアプリ画面を変更して店舗の顧客にアプリのダウンロードを提案。「EC売上の50%がアプリ経由となった。今では主要な販売チャネルに成長した」(同)。現在、アプリのダウンロード数は300万超となっている。
 
自社ECサイトやアプリによる販売チャネルに加え、ECモールの販売にも力を入れてきた。
 
楽天市場やヤフーショッピングなどには出店していたものの、これまで販促には注力してこなかった。昨年から、これらECモールでの販促を強化。今年8月にはゾゾタウンにも出店した。モールの売り上げは、前期と比べて200%増となり、引き続き、モールでの販促に注力していく。


今期は線での戦略

 
2024年7月期については原点回帰に戻る年としつつ、点での施策を線につないで成長していく計画を挙げた。
 
現在はECモールによる売り上げが急伸している一方で、自社ECの伸びが緩やかになってきている。自社ECとモールのそれぞれが成長していく形を取りつつ、顧客体験を主とする展開を強化する。
 
近年、下着EC事業者は、テックを取り入れた動きが活発になっており、同社もアプリを起点としたテック系の取り組みもさらに進めていく計画。「ブラジャーはウェブ限定で、返品送料を無料にしている。こうした点での購入体験をより良い顧客体験という線につなげていく」(同)と意気込む。
 
店舗の接客やPOSデータの情報・分析、LTV予測なども常時行い、ECとのシナジーを生み出していく。「まだ、本決まりではないが、来年の春ごろを目安に、(ネットで購入した商品を)店舗で受け取れる形も開始する予定」(同)と話している。






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