コマースロボティクスは9月18日、次世代型の新しい物流サービス「Cyber Logi（サイバーロジ）」の提供を開始した。
大手物流企業のSBSホールディングスと連携してサイバーロジを提供する。コマースロボティクスは、物流の付帯業務をオンライン上で完結させて、データ連携のもとSBSが庫内業務を担う。
両社の連携で、大手や中小、スタートアップなどの規模を問わず、通販EC企業の物流業務を全面的に支援することが可能となる。
サイバーロジは、クラウド型の物流サービスとして、入出庫や保管、配送などを使用した分だけ請求する「従量課金」で展開。初期費用や固定費を完全無料とし、OMS（受注管理）やWMS（在庫管理）などのシステム料も無償で提供する。「システム費用が含まれているため、システムを別で利用する荷主にとっては、コスト削減につながるだろう」（伊藤社長）と話す。
縦横無尽な連携が可能
通販EC各社が利用する「Shopify」「ショップサーブ」「ecforce」「makeshop」「フューチャーショップ」など主要カートシステムのほか、「楽天市場」「ヤフーショッピング」「au PAY マーケット」「Qoo10」の大型ECモールなどとAPI連携を可能にしている。「今は、マルチチャネルが当たり前。しかし、出店者からは、マルチ展開のやりにくさも聞く。このあたりのカバーもサイバーロジで可能となる」（同）。
マルチチャネルの対応以外にも、定期通販や常温・冷凍・冷蔵などの3温度帯の通販にも対応する。
契約後に、荷主の売り上げ規模が拡大し、庫内スペースが今以上に必要となった場合でも、自動で拡張できる。また、そのままSBSと3PL契約に移行できるようにもしている。
成長に合わせ料金変更
サイバーロジの料金体系は、従量課金制だが、一定量の物流を超えると、段階的に料金が変更される仕組みを導入している。
基準は「スモール」「ミディアム」「ラージ」の三つの階層に分かれる。スモールからミディアムに物流量が上がった段階で、単価がスモール費用よりも安くなる。ミディアムからラージも同様だ。「段階的な料金変更については、SBS側と協議中のため、正式な公表はこれからとなる」（同）としている。
全自動が成長サポート
コマースロボティクスが提供するサービスは自動化のソリューションが多い。自動化を推進していくことが強みの一つでもある。
サイバーロジも、契約処理や物流費、請求業務、OMS、RPA（受注処理ロボット）、WMSなど、庫内までの全ての物流業務を自動化し、オンラインで完結できるスキームだ。「ECの成長には非戦略的な業務を省いていくことが欠かせない」（同）と強調する。
売り上げアップを目指すことに集中するため、物流・受注業務などの非戦略的な業務を自動化していくことが重要だとしている。特に、小人数でECを運営する会社や、スタートアップのD2C企業などでは、非戦略的な業務が成長の足かせになってしまうケースがある。
サイバーロジは自動化の物流サービスのため、売り上げを上げるための戦略的な業務に集中できる。通販EC売り上げアップのサポートにつなげていく。
仮想物流をSBSと展開
サイバーロジは「仮想荷主グルーピング」も提供する。これは多数の小規模荷主を仮想荷主の1社としてグルーピングできるもので、荷主と倉庫の両社に恩恵をもたらす。
従来、大手物流や3PL企業などは、小規模荷主の案件を引き受けることが難しかった。物流の効率や採算性が悪いためだ。
しかし、仮想グルーピングによって、小規模荷主を一つの荷主として処理できるようになるため、大手企業も小規模荷主の案件が受注できるようになる。「こうした技術提供によって、大手物流企業の幅も広がっていくだろう。小規模またはD2Cの荷主も大手の物流が利用できるようになるため、成長が期待できる」（同）。
サイバーロジは、SBSが2024年春に開設する約3万3000平方㍍に及ぶEC専用物流倉庫とも連携する。
SBSのEコマース事業推進部 大森茂部長は、「最初は埼玉・川越の倉庫でEC物流を対応する。その後、新物流センターの野田を起点に、他の拠点も含めて順次広げていく予定だ」と話す。
また、「EC企業の売り上げ規模が大きくなっても拡張性や品質を担保できるシステムと物流ができる。当社は国内外に700を超える物流拠点がある。組織力を活用することで、通販EC企業の成長をサポートできる。コマースロボティクス社の技術を活用してタッグを組めることに意義を感じている」（同）と話している。
■コマースロボティクスhttps://www.cyber-logi.com/
