2023.08.20

【有力通販インタビュー】「つくりおき.jp」のAntway 前島恵CEO「手間や罪悪感、真の課題解決を目指す」

Antway 前島恵CEO


2020年2月から、家庭料理の配達サービス「つくりおき.jp」を手掛けるAntway。週に1度、4日分のチルド総菜が届くサービスが共働き家庭から支持され、サービス開始から3年で約36億円の売上規模に成長している。2023年5月には、岩手県、石川県、大阪府など24都府県にエリアを拡大した。7月末からはフランチャイズビジネスにも乗り出した。サービスの全国化など今後の展開などについて、前島恵CEOに聞いた。



――3年で売り上げ約36億円に伸長した要因は?

サービス開始時点で、市場性や継続性を満たしていると感じていた。市場としては、共働き世帯というターゲットセグメントが良かったと思う。共働きは90年くらいから増加傾向にあり、1000万世帯を超え、宅食・食の外注市場が伸びている。

継続してもらうため、約10カ月を検証期間に充てた。ユーザーにインタビューをしたり、ワークショップのような形で集まってもらったりして、「どのようなサービスなら使いたいか」の調査や商品開発に時間をかけてきた。これにより「つくりおき.jp」の開始時から、ユーザーが求めているサービスを提供することができた。

当時の計画に対し、もう少し売り上げが伸びると見込んでいて、不本意なところはある。宅食という大きなくくりで見ると、10兆円以上のマーケットがあり、今後さらに伸びると言われる。食事の外注率が高まる中、ユーザーを獲得しきれていないと感じている。


真の課題解決


――「つくりおき.jp」の特徴と強みは?

「冷蔵×日持ち×メニューが週替わり」がこだわりのポイント。冷蔵総菜で、添加物や保存料は使用していない。メニューは毎回異なり、自動で決まる。総菜は全て4日間日持ちし、受け取りは週に1回となっている。

検証期間中のインタビューでニーズ調査を行っていたところ、今存在しているサービスは、ユーザーの真の課題を解決していないと感じた。「仕事・育児・家事」で時間がなく忙しい共働き世帯にとっては、冷凍食品やミールキットなど時短となる商品はあってもそれぞれに課題はあると思う。冷凍食品は、毎日食卓に出すことに罪悪感を抱く人が多い。また、うま味成分が抜けてしまい、調理したてより味が落ちてしまう。ミールキットは、手を加える時間が必要となる。毎日家に宅配するサービスもあるが、家で待機しなければならないという手間がある。これらの全てを解決するサービスとして、現在の形態にたどりついた。

――商品が日持ちする秘訣は?

腐敗の原因となる細菌の繁殖と酸化を防ぐ製法をとっている。

5月に新たに導入した「ガス置換包装」により、6日間、日持ちすることも可能となった。窒素と二酸化炭素を酸素の代わりに充填して、密閉し酸化を防ぐ。2日間保存期間が伸びたことで、配送に2日使えるようになった。これにより配達エリアを大阪から宮城まで一気に拡大できた。


今後の取り組みと展望


――フランチャイズビジネス化のパートナー募集について

当社のキッチンは、動線作り、マニュアル作り、機材の選定など一から立ち上げてきた。恵比寿のテストキッチンからスタートし、キッチンを増やして進化させてきた。自社開発のソフトウェアやルール、教育方針、採用方針などノウハウを提供することで、他社も再現可能なものとなった。

地域は問わず、パートナーを募集する。当社の社員が直接サポートに行ける場所で言うと、一都三県が望ましいが、出張でもオンラインでも対応していく。来年中にはフランチャイズを複数オープンさせて、さらなるエリア展開を目標にしていく。また、九州方面も強化したいと考えているので、大阪支社の開設も検討している。

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