2020.01.16

【インタビュー《 EC売上高20%増の25億円に》】黒澤楽器店 小野寺将也部長

小野寺将也部長


キャッシュレスで相乗効果


ーーキャッシュレス決算導入の影響はありましたか。

19年の春から店舗だけでなくECサイトでも、ペイペイや楽天ペイなどのキャッシュレス決済を導入しました。これらの導入により、ECサイトの売り上げは好調ですが、ライブ会場での物販用のECサイトのQRコードの導入もあり、シナジー効果を生み出しています。ライブ会場での売り上げは、前年比で40%ほど増えていると実感しています。


ーー消費増税の影響はありましたか。

19年の9月は増税前の駆け込み需要により、ECの売り上げは前年同月比15%増で推移していました。増税後は、消費がかなり冷え込みました。14年4月に、消費税が8%に増税した際も消費が落ち込みました。19年10月に増税された際は、5年前よりも消費が落ち込みました。

10月以降、消費の冷え込み対策として、自社ECサイトを中心に値引きなどのセールなどを例年より多い頻度で実施しました。ほぼ毎週のペースでセールをやっています。セールなどの企画が奏功し、11月の中旬以降から12月のクリスマスシーズンにかけて、少しずつ売り上げは持ち直してきました。


ーー通販用のフリーマガジン「STAGE(ステージ)」の反響は。

17年から、全国の店舗で「ステージ」を配布しています。「ステージ」では、音楽ファンや好きなミュージシャンの情報を発信しています。他の音楽雑誌では、撮影できない近い距離でミュージシャンの機材を撮影し、フリーマガジンに掲載しているのが特徴です。19年の発行部数は1万5000部になり、店舗を中心に情報発信とブランディングを行っています。

19年の春先には、「ステージ」をネットでも見られる仕様にしました。全国の黒澤楽器店の店舗に足を運ぶのが難しい人でも、リアルタイムで、マガジンの内容を確認できるようになりました。地方の人を中心に「ステージ」の利用者が増えました。利用者が増えたことにより、新商品などの情報を発信しやすくなり、商品の購入につなげています。

越境での成長見込む


ーー越境ECの現状は。

当社のEC全体のうち、越境ECは15%ほどを占めています。エレキギターなどの楽器が特に人気があります。越境ECでは、米国が最も売れています。次いで中国と韓国での販売も伸びてきています。

19年11月26日には、ギターの製造に必要な木材であるローズウッドの輸出入の制限が緩和されました。輸出入の制限の緩和により、ギターの製造が増え、20年は越境ECでの販売は拡大すると予測しています。


ーー20年の展望を教えてください。

今年は、BSフジとのテレビ通販など、新しいことに果敢に挑んでいきたいです。楽器店ならではのアーティストとの強いつながりを生かし、音楽好きを中心に”夢がある”企画を打ち出していきたいと考えています。21年2月期のEC売上高は28億円を目指していきたいです。


「クロサワ楽器店」のECサイト

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事