2023.06.21

【自社ECリニューアルの成果は?】ユナイテッドアローズ CDO 藤原義昭氏「自社ECサイトは刷新前から65%増収」


ユナイテッドアローズは2022年3月に自社ECサイトやスマホアプリをリニューアルし、OMO施策を進める基盤を整備した。自社ECサイトやアプリを核に、顧客とのコミュニケーションを深めることで、2023年3月期における自社ECサイトの売上高は、リニューアル前の2020年3月期と比較すると65.7%増となった。特にスマホアプリ経由の売り上げが伸びたという。リニューアル後のOMO施策の進捗や、EC事業で強化した点について、執行役員 CDO(チーフ デジタル オフィサー)兼 OMO本部本部長の藤原義昭氏に聞いた。


藤原:自社ECサイトのリニューアル時は不具合などさまざまなことが起きるので、前期の第2四半期(2022年7‐9月期)くらいまではその対応に取り組んでいた。同時にさまざまな細かいチューニングをしていった。

トピックスとしては自社ECサイトもそうだが、自社アプリ経由の売り上げが伸びた。新規のお客さまはいきなりアプリでお買い物はしないので、ロイヤルのお客さまと関係性をしっかり作るためにアプリを活用した。

単純にアプリの機能や販促を強化したという話ではなく、広告運用も含めて集客をしっかり取り組み、CRMとして実店舗を利用したお客さまにもう一回買っていただくために、アプリのプッシュ通知やメルマガなどを一続きの施策として取り組んでいる。ストーリーを持って、クロスチャネルでどれだけお客さまとコミュニケーションを取ることができるか、ということを大切にしている。

組織としてもアプリの担当者、広告の担当者、CRMの担当者だけで固まるのではなく、それぞれが連携しながら、顧客接点として重要なアプリでどういう取り組みを行うかを考えている。
自社ECサイトにはメディア機能もあり、特にスタッフコンテンツが大きい。自社ECサイトの売上高の約28%がスタッフコンテンツ経由になっている。

スタッフコンテンツと言っても、「STAFF START(スタッフスタート)」を活用した、スタッフのスタイリング画像の投稿だけではない。スタッフが全員ではないが、それぞれにインスタグラムにスタイリング画像を配信してくれている。

さらに新商品の発売時などに人気スタッフが着用した画像や着回しの情報などを載せたコンテンツをしっかりと作り込んで出している。そういったコンテンツは閲覧も伸びるし、商品ページに行けば「STAFF START」からのスタイリングもあり、それらが連動して高い効果を発揮している。

スタッフコンテンツもよく単発で語られがちだが、広告やSNSなどさまざまな施策が連動して、その結果としてECでドライブがかかったりする。一連の施策として、どのようなメッセージを発信するかを重視している。

「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」などのモールも注力しているが、われわれがやりたいのはOMOなので、自社ECサイトやアプリをハブにしながら、実店舗や自社ECサイトでしっかりと売り上げを作っていくことを重視している。そういった意味でもクロスユースしてくださるお客さまの数は一つの指標となっている。実店舗と自社ECサイトを併用しているクロスユーザー数は約17万人となっており、2020年3月期と比較すると53.9%増と伸びている。

今期(2024年3月期)はハウスカードプログラムの刷新を行う計画だ。ポイントなど経済的なインセンティブだけでお客さまに動いていただくようなものではなく、お客さまとの関係性をより深くできるようなものに変えていく。サービスだけではなく、UI/UXも含めて改善する。

アプリも裏側の機能や表示速度などを含めて、ハウスカードプログラムの刷新にもフィットさせた形で再開発する計画だ。

D2Cブランドとしてスタートした「CITEN」の実店舗展開も加速する。チャレンジングな取り組みだと思うが、ECだけでは成長に限界があるため、当社の実店舗のアセットやノウハウを生かして、リアルの顧客接点を増やしていきたい。

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事