2023.04.04

アリババ、中国ECの5つの攻略法を発表 効果的なキャンペーン活用法など紹介

アリババグループは4月4日、過去1年間に実施した100を超えるマーケティング戦略の結果を元にした、5つの中国EC攻略法を発表した。ECプラットフォームの活用、消費者を巻き込んだB2Bキャンペーン、共感マーケティングやインタラクティブ性の強化、的確なターゲット層へのリーチなどが効果的であるとし、海外ブランドの中国での事業におけるこれらの攻略法の活用を提案した。

アリババグループはこのほど、中国市場へのEC参入や事業拡大における5つの攻略法を発表した。過去1年間にアリババグループ傘下の各プラットフォームで実施された100を超えるマーケティング戦略の結果に基づいたもので、「ECプラットフォームを活用して顧客へのリーチを最大化する」「B2Bキャンペーンを消費者に身近なものにする」「共感マーケティングを心がける」「マーケティングキャンペーンをよりインタラクティブにする」「ターゲット層を把握して顧客へのリーチを最大化する」の5つを挙げた。

1つ目の「ECプラットフォームを活用して顧客へのリーチを最大化する」では、10億人もの年間アクティブ・コンシューマー(AAC)を抱えるアリババの巨大プラットフォーム、並びに同社が実施する中国最大級のセール「618ショッピングフェスティバル」や「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」などの販促機会を活用し、顧客へのリーチを最大化すべきだとの見解を示した。


▲Tmall Globalのマーケティングキャンペーンで中国向けに特別にデザインされた新商品を紹介

アリババのB2C越境ECプラットフォーム「Tmall Global(天猫国際、Tモールグローバル)」は、2022年の「618ショッピングフェスティバル」と「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」において、海外ブランドによる中国限定の新商品を販売した。オーストリアのジュエリーメーカーであるスワロフスキーは、中国で古くから繁栄と順調のシンボルとして親しまれている如意模様のネックレスを、スイスのチョコレートメーカーのリンツは財運に良い豚の形をした貯金箱を模したギフトボックスを販売。これらの中国限定商品は、「Tmall Global」のマーケティング支援により合計で約76億円(4億人民元)の流通総額(GMV)を達成した。また、オーストラリアのサプリメントブランド「Swisse」は、飲みやすいミニサイズのカルシウムサプリを発売し、「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」における同社のGMVは前年比約23%増となったとしている。

2つ目の「B2Bキャンペーンを消費者に身近なものにする」では、バイヤーである顧客企業に直接営業をかける従来のアプローチではなく、まずは消費者をターゲットにしてブランド認知度を高めることで需要を喚起するB2Bキャンペーンが近年増加していることを挙げた。

例えば「Alibaba Cloud(アリババクラウド)」は、中国の若手映画監督に制作ツールとなるクラウドコンピューティング技術を提供することで、高度な技術概念を消費者にとってより身近なものにしようとしている。10人の若手映画監督に同社オリジナルの手のひらサイズのクラウドノートPC「無影クラウドブック(Wuying Cloudbook)」を提供し、彼らがクラウド上で制作した作品を近日開催される国際映画祭において公開する予定としている。

3つ目の「共感マーケティングを心がける」では、危機的状況下においては、思いやりや共感が最も大きなマーケティング効果を発揮するとした。「Tmall Global」は9つの消費財ブランドと共同で、上海において新型コロナウイルス感染症が拡大している時期に、住民がどのように団結したかをドキュメンタリーにする「Thank you, my neighbor」キャンペーンを実施。これをきっかけに住民たちは、隔離期間中に隣人や周囲の人々のために「Tmall Global」で日用品などを隣人へのギフトとして購入するようになったことを挙げた。


▲Tmallは9つの消費財ブランドと提携し、コロナ禍において上海の住民が隣人へ感謝を伝えることを促した

また、アリババのナビゲーション・プラットフォーム「Amap(高徳地図)」は、2023年の春節旅行ラッシュ時に友人や家族の絆を強める旅行の魅力を訴求。休日旅行の関連情報や視聴覚ナビゲーションガイドを紹介し、「Amap」を利用することで中国の長距離旅行をより安全で快適にできることを強調した。

4つ目の「マーケティングキャンペーンをよりインタラクティブにする」では、SNSの普及により消費者がブランドのアンバサダーや共同制作者となっているなか、ブランドは消費者の力を活用し、キャンペーンをよりインタラクティブにすることで成功を掴むことができるとした。


▲クイズに答えることで、ウーラマ(餓了麼)の加盟店より無料で食べ物や飲み物を獲得できるキャンペーン

アリババのオンデマンドデリバリープラットフォーム「ウーラマ(餓了麼)」は2022年6月、クイズに参加すると加盟店から無料の食べ物や飲み物を獲得できるキャンペーンを実施。何十万人ものユーザーが、無料の食べ物や飲み物の写真を自身のSNSで共有し、開始から2カ月ほど経った頃には数百の都市の住民が参加する大盛況キャンペーンとなった。その結果、開始から半年で1億人がクイズに参加し、何千もの加盟店が同キャンペーンを活用したプロモーションを行うなど、ブランド認知を大幅に高めることに成功したとしている。

5つ目の「ターゲット層を把握して顧客へのリーチを最大化する」では、潜在顧客からの共感を得るためには、ターゲット層を特定する必要があるとし、アリババのディスカウントプラットフォーム「タオター(淘特、旧・タオバオ特価版)」が、食料品の購入や家事を担当する消費者を主要ターゲットと定め、このセグメントを惹きつけるキャンペーンを実施した例を示した。


▲TmallのキャンペーンにおいてZ世代の消費者はシルバー世代の祖父母と共通の趣味を楽しむ写真を投稿した

対象セグメントの消費者は、お得な買い物情報を見つけることに最も関心を持つことから、「タオター」は中国の家計を圧迫する家計費に関するドキュメンタリーを制作。同プラットフォームで商品を購入する消費者に対し、最大約19億円(1億元)の補助金を提供するキャンペーンも実施した。

ここで課題となったのが、食料品の購入や家事を担当する消費者の多くがインターネットの普及率が低いシルバー世代であることだった。そこでZ世代の消費者にシルバー世代の家族と一緒に過ごしている写真の投稿を促すなど、世代を超えた親密さを活用したマーケティングキャンペーンを実施。ブランドはより多くの消費者に自社商品をアピールすることができたとしている。

こうした攻略法を活用することで、海外ブランドは中国市場への参入や同国での事業拡大を効率的に達成することができるとの見解を示した。





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