2022.07.22

【「nicoせっけん」がSNSで話題】エレファント 山口武代表「真面目な通販でも70%増収のヒット」

「nicoせっけん」(左)と山口武代表


エレファントが販売する敏感肌向けのオーガニックせっけん「nico(ニコ)せっけん」は、2022年7月期において前期比70%超の成長を遂げ、売上高が10億円を超える見通しだ。6~7月には、初のテレビCMを関東エリアで放送し、商品の認知度が拡大している。山口代表が自らの子どものために開発した商品はSNSで広がり、同じ悩みを抱える親世代から多くの支持を集めている。「真面目な商品を作りたい」「マーケティング優先の通販はやりたくない」というこだわりを持ちながら、ヒット商品を生み出した山口武代表に、商品開発の経緯や顧客獲得の戦略を聞いた。



――「nicoせっけん」を開発した経緯は?

私の子どもがアトピーだと診断された。背中や関節などがカサカサになり、妻とどうしたらいいか悩んでいた。皮膚科で薬をもらうことはできても、毎日のお風呂で使うせっけんはもらえない。肌に合わないせっけんを使うと肌荒れは悪化するが、体の汚れを落とさないわけにはいかない。市販のせっけんをいろいろ試したが、良いものが見つからなかった。

私は通販コンサルタントとして独立していたが、いずれ自分で商品を開発し、通販をやりたいと思っていた。同じような悩みを持つ親がいるのであれば、この悩みを解消する商品を作れないかと考えた。


▲「nicoせっけん」

――なぜ固形のオーガニックせっけんを作ることになったのか?

自分で調べたり、知り合いのOEMメーカーから話を聞くと、泡立ちを良くするためには、肌への刺激が強い成分を配合しなければならないことが分かった。オーガニックな保湿成分だけの洗浄剤を作りたいと思っており、検討を進めた結果、固形せっけんに行きついた。天然由来100%の成分を使うことや、アルガンオイルよりも保湿力の高いサボテンオイルを使いたいという要望を満たすための選択でもあった。

通販コンサルティング(コンサル)の経験から、固形せっけんは安価なイメージの割に原価が高く、美容液などと同じようなやり方では採算が合わないと分かっていた。しかも成分を壊さないように、1カ月以上の自然乾燥で固めることにしたため、原価はさらに上がっていた。市場を調査すると、同じようなコンセプトで固形せっけんを販売している通販会社が見当たらなかった。他がやっていないなら、自分たちがやる価値があると考えた。

――他社で実績のあるコンセプトや成功パターンに当てはめた商品を開発するのが常とう手段だと思うが、逆を行ったのはなぜ。

通販コンサルの経験から、大手になればなるほど他社の実績や売れ筋の商品を追い求める傾向があることは分かっていた。コンサルとして入っていた会社で、新しい成分やコンセプトの商品開発を提案し、却下されたことは何度もあった。

そのようなやり方も間違いではないと思うが、自分は真逆の考えだった。他の会社が同じような商品を販売しているのであれば、当社が作る必要はない。マーケティング優先で商品を開発する通販企業も多いが、本質的ではない商品が世の中で支持され続けるはずはないとも思っていた。きれいごとではなく、戦略的にも“真面目な商品”の方が長期的に収益を上げられると考えた。

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