2022.03.18

【徹底解明<ECにはびこるサイバー犯罪>】第1回 相次ぐ不正購入の実態・手口と対策


不正購入者を育成する業者も


不正に大量注文を行う際に、「同一人物」と事業者側に判明しないように使われる手口の一つに、「表記揺らし」がある。購入者の氏名や配送先住所の表記を少しずつ変えることで、一見すると同じ住所からの注文だと分からなくするものだ。

転売やアフィリエイト報酬で利益を得るために、こうした不正に購入するための手法・ノウハウを体系化した情報を、販売する業者もいるそうだ。

「このサイトが安い」「定期便で1回目注文後に即解約するように」といったアドバイス付きのリストも販売されているという。業者が不正購入者を「育成」しているとも言える。ただ、そうしたリストに則って、不正購入した商品が、確実に転売できるかというとそうではない。高額な情報量を支払い、悪事に手を染めたにもかかわらず、実際には損をするという、笑うに笑えない事例も少なからずあるのだという。


対策を徹底する術とは?


事業者ができる対策は、氏名・住所の「目視確認」を地道に行うことだ。ただし、こうした方法では注文数が増えるにつれ、対処が難しくなってくるだろう。

「不正注文検知システム」を導入して、不正検知を自動化する事業者も増加している。

そういった自動検知システムを提供する企業に話を聞くと、「サービスをトライアル利用した事業者は、不正検知システムの導入・運用の費用よりも、不正購入によって生じていた被害額の方が大きかったことに気付き、本契約に移行することが非常に多い」(A社)としていた。別の自動検知システム提供事業者も、同様の感想を漏らしていた。

前述の東氏によると、ECサイトの「利用規約」の記述を確認・変更することが対策になり得るという。販売の目的を、「自己愛用者・自己消費者への販売」と限定する記載を行うことも対策になり得るという。「転売目的(営利目的)での購入を禁止」する条項を設けることも推奨している。

「非常に悪質な転売に対しては、法的根拠を明確にして、刑法(詐欺罪)、商標法、古物営業法などで訴えていくという手もあると言われている」(東氏)ということだ。









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