2022.01.31

【インタビュー】SBペイメントサービス 営業本部長 桑原康弘氏「2022年は“決済のOMO”が加速する」

SBペイメントサービス 桑原康弘 営業本部長


オンライン決済代行大手のSBペイメントサービス(SBPS)では、「2022年のEC決済市場は、ECとリアル店舗の決済情報を連携させて、購買に結び付ける動きがさらに加速する」と予想している。2021年は、リアル店舗で商品を確認しECで購入する「売らない店舗」のようなOMO(オンライン・マージズ・ウィズ・オフライン)施策を推進するケースが多く見られた。SBPSの桑原康弘営業本部長は、「今後は、リアルで体験してオンラインで決済するなど、“決済のOMO”が加速していくのではないか」と話している。桑原本部長に、2022年のEC決済市場の予測と、SBPSの展開について聞いた。

 

現金主流のジャンルもキャッシュレス化進む


――2021年のEC決済市場について、振り返ってもらいたい。

2021年は、コロナ禍2年目ということもあり、EC市場は業種によって、大きく伸びたジャンルもあれば、伸び悩んだジャンルもあった。小売やデジタルコンテンツのほか、飲食のデリバリーやモバイルオーダーなどの加盟店の多くが、取扱高を伸長させた。高校・大学の授業料や受験料などの教育関連、保険、住民票発行手数料などの公共料金、地域振興券の購入など、今まで現金や振り込みでの決済が主流だった分野の業種でも、キャッシュレス決済が急速に広がってきている。

一方で、旅行・宿泊、レジャー系などのオンライン決済は、伸び悩んだところもあった。ただ、EC決済市場全体の流通額としては、前年を大きく上回った。 

コロナ以前から、「PayPay」や「LINE Pay」といったID決済が乱立していた。2021年は、こうしたID決済が、新たなジャンルの業種においてもキャッシュレス化を加速させた。

QRコード決済においては現在、「PayPay」の一人勝ち状態が続いている。通常のECやサービスだけでなく、動画コンテンツや定期購入のような継続課金の業態でも、「PayPayを導入したい」という声を多く聞くようになっている。

OMOが加速した2021年

2021年のEC市場を見ていて感じたのが、実店舗での対面の決済とオンラインの非対面の決済の垣根が取り払われつつあるということだ。「リアルで体験して、決済はオンラインで行う」といったような、OMO施策を推進する企業が増えている。逆に、ECから事業をスタートした企業が、実店舗を出店するケースも出てきている。ECで購入した商品を、実店舗で受け取れるという販売手法を採用する企業も多くなった。こうしたOMO施策では、ECと実店舗で顧客情報を一元化しマーケティングに活用することができる。在庫情報を共有化することで余剰在庫を解消できるというメリットもある。今後、ECと実店舗の決済情報を連携することを通して、よりシームレスな顧客体験が生まれていくと考えている。

2022年は、コロナが収束に向かうという予測もある。コロナが明ければ、こうしたOMOの施策を推進する企業が続々と登場するのではないか。

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