2024.01.17

【有識者に聞く!2024年のEC市場展望】 ワサビ 大久保裕史代表「海外は『SDGs』が浸透」

テーマ:「越境EC」


多機能EC管理システム「WORLD SWITCH」を提供するワサビの大久保裕史代表は、これからの海外販売・越境ECについて、「より『SDGs(持続可能な開発目標)』など環境に配慮した商品が支持されていくだろう」との見解を示す。昨年、実際に多くの海外を訪れ、現地の状況を知っている大久保代表に今後の越境ECのトレンドなどについて聞いた。



昨年、米国に行って思ったが、やはりモノが日本よりも高い。ロサンゼルスの店舗に行ったときに、ある日本の商品が日本国内よりも10倍近い価格で販売されていたこともあった。包丁など、明確な相場価格がない商品は、現地で高値で売られていた。

個人的に越境ECでうまくいっている日本企業は、大手企業よりも中小企業の方が多い印象を受ける。日本の大手企業だと、国内で需要があるため、越境ECに本格的に注力する必要がないのかもしれない。それよりもかっこいい包丁や着物など、国内でそこまで需要が高くない商品を取り扱う企業の方が、越境ECで成功を収める可能性が高い。

また、欧州に行って、「SDGs」が浸透しているなと肌で感じた。

フランスは2022年、企業が売れ残りの新品の衣類を廃棄することを禁止する法律を施行した。欧州委員会も2030年までにEU域内で販売する繊維製品に関して、寿命が長い、リサイクルが可能、再生繊維を大幅に使用するなど、環境に配慮した商品の販売を目指している。

欧州では、洋服に関してここまで「SDGs」が進んでおり、このトレンドが今後の世界のトレンドになることは間違いない。日本はまだ、ここまでの風潮はないが、今から目を向けないと世界に取り残されてしまう恐れがある。「リユース」「SDGs」は今後外せないテーマになるだろう。

昨今、「Temu」や「SHEIN」など、洋服を安く購入できるプラットフォームが台頭している。今の若い日本人も、洋服は「SHEIN」で買うという人が多く、このモールが台頭すれば台頭するほど、洋服を安く販売している企業にとっては厳しい戦いを強いられる。

もしかしたら、今後「Temu」の利用を禁止するという国が出てくるかもしれない。実際にあのような激安価格で販売されては、企業が生き残るのは難しい。価格で勝負するのではなく、価格以外での購入理由を作らなければならない。その1つが「SDGs」だと思うし、海外に販売するときは、この目線を持たなければ、ゆくゆくは消費者から支持されなくなってしまうだろう。










RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事