2024.01.16

【EC事業者に聞く!2024年の展望】武内製薬 小倉由渡社長「プロテイン市場は群雄割拠」


プロテインブランド「THE PROTEIN(ザプロ)」などを展開する武内製薬の新社長に昨年9月、小倉由渡氏が就任した。小倉氏が新社長に就任したあとも武内製薬の勢いは増しており、今期(2024年3月期)の売上高も35億円で着地する見通しだという。健康食品業界(プロテイン)でますます知名度を広げる武内製薬の小倉社長に業界や同社の動向について、2023年の振り返りと2024年の展望をそれぞれ聞いた。


当社はプロテイン事業を展開しているが、プロテイン市場に関しては2023年は、まさに群雄割拠な市場になってきたと感じた1年だった。当社ではプロテインの製造・OEM事業も展開しているため、市場環境についての理解はある程度できている認識だ。企業だけにとどまらず、インフルエンサーの方々など多くの新規参入プレーヤーが増えた印象を受けている。

そのような市況のなかで、どのように他社と差別化を図るかが、ますます重要になってくる。安直に販売価格を下げる戦略のみだと事業継続そのものも厳しくなってくる。価格訴求ではない、別の形での付加価値を提供していかなくてはいけないと感じている。

「今からプロテイン市場に参入して売り上げを上げるのは容易なのか」。先程も申し上げた通り、競合環境が激化してきたプロテイン市場で成長を続けることは簡単ではない。新規参入プレーヤーだけでなく、もちろん既に多くの人から愛されているブランドも数多くひしめき合っている。

そのような中で当社は三つの軸での成長を考えている。それは①影響力の大きい方々とのコラボレーション②フレーバーラインアップのさらなる拡充③WPC(ホエイプロテイン)にとどまらない商品・サービス展開ーーだ。

当社は2023年12月、IFBB PROメンズフィジーク(体の美を争うコンテスト)の田口純平選手が完全監修したプロテインを発売した。それをきっかけにFWJが主催し田口選手も出場されるフィジークの大会「JAPAN PRO」にも出店した。

田口選手とのコラボレーションをきっかけに当社の「ザプロ」を知ってもらったり、今までアプローチしきれなかった人に購入していただいたりすることも増えており、その影響力を実感している。このような当社の理念に共感していただけるインフルエンサーや著名人とのコラボレーション、アンバサダー契約などは継続していく方針だ。

フレーバーラインアップの拡充では、「日本一のフレーバー数」を持つブランドになることを目指している。好みの味と出会うことでプロテインの摂取を継続してくれる人は確実にいると思う。「ザプロ」に訪れるとこんなフレーバーもあるのかという驚きと嬉しさを感じてもらえるような「誰でも好みのフレーバーが見つかる」ブランドになりたいと考えている。

12月のクリスマスシーズンではWPCから「ホワイトチョコレート」、ソイプロテインから「ミックスベリー」のフレーバーをそれぞれ発売し、今後も季節のイベントに合わせて新商品を発売していく予定だ。通常ラインアップの拡充とともに季節・期間限定フレーバーの販売も強化したい。結果として多くの人に楽しんでもらえるようなブランドにしていきたいと考えている。

WPCにとどまらない商品・サービス展開については、近年プロテインの原材料価格の高騰により、WPCプロテインのみで利益を確保するのは難しい現状がある。先程申し上げたようにWPCプロテインのラインアップを拡充し、お客さまに楽しんでほしいという思いは譲れない。その拡充は着実に続けつつも、一方で他の商品やサービス展開も考えないとプロテイン事業そのものが立ち行かなくなってしまう。

現状考えていることとしては、よくあることかもしれないが、「WPC以外の商品販売強化」と「商品販売以外のプロテイン事業の模索」だ。

「THE PROTEIN」というブランド名はもともとWPCに限らず体を作り上げるタンパク質やその他の要素を全て含んだ言葉として立ち上げた。EAAやさまざまなサプリなど、WPC商品以外の価値もお客さまに提供していきたいと考えている。

また「商品販売以外のプロテイン事業」も模索していきたい。飲食店やジム経営など、可能性はいくらでもあると考えている。プロテイン事業を幅広くとらえ、お客さまにさまざまな持続可能な価値を提供していく。簡単に聞こえるが非常に難しいことだと思っている。だが、これに真摯に向き合い続けることがこの業界で生き残る唯一の手段ではないかと思っている。









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