2023.12.03

【「次世代コマース大賞」受賞】しょうゆEC「職人醤油」、受賞の決め手はコンテンツとファン化促進

「職人醬油」を運営する伝統デザイン工房の高橋万太郎氏


小ボトルの醤油のEC「職人醬油」を運営する伝統デザイン工房は11月14日、先進的なECサービスを選出する表彰イベント「NextーGeneration Commerce AWARD2023(ネクストジェネレーションコマースアワード、NgCA2023)」で大賞を受賞した。ECサイト「職人醤油」のページ構成や、読み物として楽しめるECサイトである点などが評価されたとしている。同社では、2023年から、ユーザーのファン化を促進する施策にも重点的に取り組んできた。こうした点も受賞に影響しているようだ。伝統デザイン工房の代表取締役を務める高橋万太郎氏に、「職人醤油」の事業展開と、ファン化促進のための施策について聞いた。




発酵食品で手間がかかるのに安定供給


――「職人醬油」の事業について教えてください。

「職人醬油」は、100ミリリットルサイズのしょうゆをECで販売しています。現在は、全国約60カ所のしょうゆ蔵からしょうゆを仕入れて販売しています。年間約30万本を出荷しています。


▲「職人醬油」のオウンドメディア

私がしょうゆの販売をしようと思ったのは、貧乏旅行で全国のしょうゆ蔵を巡る旅をしていた頃でした。全国にしょうゆ蔵は約1000カ所あります。一般的なしょうゆとされる濃口しょうゆから、琥珀色をした白しょうゆ、濃厚な溜まりじょうゆ、九州の甘いしょうゆまで、地域によって味は全く異なります。
 

しょうゆは、今でこそ、スーパーなどで、1リットル200円程度の価格で買うことができます。ただ、しょうゆは仕込んでから完成まで、半年から2年かかります。発酵食品ですから、製造に当たっては微生物が製造に重要な役割を果たします。気候や温度などにも左右されます。完成品にばらつきが生じるのもしばしばです。昔は、日本酒よりもしょうゆの価格の方が高かったと言われています。


▲「職人醬油」で販売する100ミリリットルのしょうゆ

そんなしょうゆが、非常に安い価格で、安定して供給されているのです。そのことを知らない人が、一般の消費者の中には多いです。海外の人に話すと、とても驚きます。当然、味についても、そこまでこだわっている人は多くはありません。

しょうゆメーカーも、使い方や味の提案は、あまりしてきませんでした。「しょうゆは万能だから」「刺身に使うのが一番いい」と、皆さんが口をそろえて話します。

私は、いろんなしょうゆの味を知るうちに、いろんな人にいろんなしょうゆを試してほしいと思いました。そのためには、しょうゆの種類に応じて利用シーンを提案してあげた方がいいと考えました。しょうゆは通常、1リットルのボトルや一升瓶で販売されています。いろんなしょうゆを試すには、もっと小さい100ミリリットルサイズの商品を開発するのが良いと考えました。


メディアサイトがSEO対策に


――今回、「NgCA2023」の大賞を受賞しました。コンテンツが評価されたということですが、どんなサイトを作っていますか?


ECサイトとは別に、しょうゆに関するメディアサイトを運営しています。メディアサイトでは、しょうゆ蔵の紹介やしょうゆの紹介、しょうゆを使ったレシピの紹介、それぞれのしょうゆに合う料理の紹介などのコンテンツを発信しています。コンテンツは、すべて当社のスタッフが作成しています。


▲しょうゆ蔵を取材したコンテンツも

しょうゆに特化したメディアページとして運用してきたのですが、結果的に、ECサイトのSEO対策になっていました。今では、検索からメディアページ経由でECサイトに流入する人がとても多いです。

ECサイトは、BtoBのお客さまも多く、ラーメン店が購入してくれるケースも多いです。ラーメン店だと、こだわりのラーメンを作っている店が多いです。そういった店では、常に新しい味の開発を行っています。そのために、個性的なしょうゆを探しているというケースが多いです。

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