2023.11.29

サカナDIY、コロナで売上70%減からECでV字回復 SDGsへの貢献も見据え単体商品も販売

松井大輔社長

フグや魚の加工・販売などを行うふく衛門は、コロナ禍に卸売り事業が苦戦する中、EC事業に注力したことで売り上げをV字回復させた。ECサイトでは、味付けが全て完了した魚料理ではなく、自ら作る”DIY”の要素を取り入れた商品を提供した。多くの購入者が調理工程をSNSにアップすることで、利用者が広がり、売り上げ増加につながったという。

2009年創業の同社は、フグや水産物の加工販売を行う水産業者。飲食店への卸売りが会社の根幹事業となっていた。だが、新型コロナウイルスの感染拡大により、飲食店への卸売りが減少した。不良在庫が増え、資金繰りも悪化した。

「2020年はコロナの影響で、会社の売り上げは、前年比70%減となった。厳しい年だった。さらに閉店する飲食店も多く、新たな卸先も見つかりにくい状況だった」(松井大輔社長)と振り返る。
 
窮地の中、松井社長がフェイスブックで「コロナ支援訳あり商品」というサイトを発見した。余剰在庫となっていたトラフグを出品し、セール価格で販売した。

「トラフグは飲食店向けの商品だったため、消費者向けに販売するのには工夫が必要だった。そこで誰でも簡単に調理できる動画をサイトに掲載することで、購入促進につなげた。発売後、1ヵ月間で10トンのトラフグが売れ、不良在庫は全てさばき切ることができた」(同)と話す。

その後、クラウドファンディングサービス「READY FOR(レディーフォー)」を活用し、2021年11月、ECサイトをリブランディングし、「サカナDIY」のサービスを開始した。


▲サカナDIY

「コロナ支援訳あり商品」のサイトでは、調理する動画を配信しており、購入者が調理を楽しんでいる声を聞いていた。

そのため、「サカナDIY」でも、完成品を提供するのではなく、購入者が調理できる商品を提供することにした。簡単な調理工程を通じて、出来立てのおいしい魚料理を食べることができるという顧客体験を重視した。

「ノドグロの煮付けや、真フグのたたきなど、珍しい魚料理でも簡単に作れるようにしている。会員の方がまだ出会ったことのない魚料理に出会えることが強みだ。年間で50種類の魚料理を提供している」(同)と話す。

2023年12月からは単品商品の販売も開始する。規格外品(数がそろっていなかったり、大きさが規定サイズのものではなく市場に流通しない商品のこと)の魚の販売を開始し、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献する。単品商品の販売により、同社のサービスに興味を持っていたが、手を出せなかった消費者に購入を促したい考えだ。





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