2023.11.11

西山酒造場、伝統産業として生き残るために 業界からの反発乗り越えECに注力

西山桃子氏

1849年創業の西山酒造場は近年、ECに注力している。酒蔵という業種が、ECを展開することについては、業界内や酒屋、既存顧客からの反発も多かったという。そんな中、同社では、「伝統産業として生き残るための策」として、ECの重要性を強く意識しているようだ。

同社の女将である西山桃子氏は、「最初にECを始めた際、業界からの反発は大きかった。酒蔵は酒造りが専門で、販売は専門外。酒造りに集中すべきだという声が多かった」と言う。一方で、「世の中は変わっていっているのに、自分たちは変わらなくていいのか。伝統産業が生き残っていくためには、ECなど新しいものも取り入れていくべきでないか」という考えもあったという。

同社がECに注力して以降、若者や女性客が増えたという。卸ではあまり動かなかった、5000~1万円といった高価格帯の商品の売れ行きがいいのも特徴だとしている。「ECで売れ行きの変化を感じ、商品開発の戦略も変わってきた。女性向けのリキュールにも力を入れている」(同)と話す。


▲路上有花 葵 純米大吟醸

同社は、自社商品を30カ国以上に輸出する取り組みも行っている。「最近では、欧州のワインソムリエが、日本酒を学ぶために蔵を訪れることも増えている。海外の人に日本酒を知ってもらうことは、日本人に日本酒の良さを再確認してもらうことにもつながってくるはずだ」(同)と言う。

「日本の伝統産業の中には、すごいことをやっているのに、自分たちは気付いていないということも多いのではないか。ものづくりの本筋を大事にすることは変えない。だが、その良さをどうやって広めていくかが、伝統産業が生き残っていくためには、必要なのかもしれない」(同)と話している。





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