2023.11.15

産直EC「ポケットマルシェ」の雨風太陽、東証グロースに上場 高橋代表「日本初のインパクトIPOに挑戦」

産直プラットフォーム「ポケットマルシェ」を運営する雨風太陽は11月13日、東京証券取引所グロース市場への株式の新規上場が承認されたと発表した。上場日は2023年12月18日を予定している。開示資料によると、2022年12月期の業績は、売上高が前期比42.8%増の6億3500万円、当期純損益が3億2200万円の純損失(前期は5億6800万円の純損失)だった。

今回の上場承認に当たり、代表取締役 高橋博之氏は、「この度の上場承認は、日本で初めて、NPOとして創業した企業が上場を実現する『インパクトIPO』となります。株式市場において、社会性と経済性の両立を追求する挑戦が、ここから始まります」とコメントしている。

雨風太陽は東日本大震災をきっかけに生まれた。



髙橋代表は「2011年当時、岩手県議会議員として東日本大震災の被災地で復旧・復興に関わる中で、生産者と消費者が直接交わることで双方にポジティブな影響を与えることを体感したことから、『都市と地方をかきまぜる』というコンセプトを着想しました。そしてNPO法人『東北開墾』を立ち上げ、“都市と地方の分断”という社会課題に対し、食を介して“都市と地方をかきまぜる”ことでその解決を目指してきました」と話す。


▲生産者とユーザーの新たな出会いを創出

2016年には、取り組みをさらにスケールし、課題解決のスピードを上げるため、「株式会社ポケットマルシェ」を設立した。同年に産直プラットフォーム「ポケットマルシェ」を開始した。宅配業者とデータ連携することで伝票の印刷などが不要なスマホで完結する一次産品に特化したサービスとして日本初だという。「ポケットマルシェ」は消費者と生産者の関係性を深め、多くの関係人口を生み出してきた。


▲ユーザーと生産者のコミュニケーションを促進

髙橋代表は「しかしながらその一方で、再膨張する東京の裏側では地方の過疎化の問題が深刻化しています。人口減少による、働き手の減少や地方から都市圏への人材の流出が続けば、地域は存続していくことができません。そこで当社は“関係人口の創出”をインパクトとして捉え、その影響を最速で最大化し、地方の衰退に歯止めをかけるために、この度、株式市場へ上場し、社会性と経済性の双方を追求する道を選択しました」と話す。


▲自治体支援サービスを提供

さらに高橋代表は、「当社はインパクト創出において、 2050年までに日本の人口の20%にあたる2000万人が関係人口となり、主体的に関与し続ける地域を持っている社会を目指していきます。そのために定めた、関係人口創出に紐づく3つの指標をインパクト指標とし、財務諸表と同様の重要性を持って企業活動を進めていきます。インパクト指標を経営指標の一部として、今後も上場企業に求められる法定開示の中で開示を行っていく予定です」と語る。

同社は2020年から、一般財団法人 社会変革推進財団(SIIF)と協働し、IMM(インパクト測定・マネジメント)を始めた。そして、IMMを実施することで明らかになる、社会性と経済性の両面におけるポジティブな影響とその過程を開示することで、ビジョンに共感する仲間を増やしたいとの考えから、インパクトレポートの発行を行っている。

髙橋代表は、「現政権は、『新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画』において”インパクトスタートアップに対する総合的な支援”を掲げています。現代の社会課題は多様化し、もはや社会課題の解決は政治や行政だけが担う時代ではありません。社会課題の解決を、成長のエンジンにするスタートアップがどんどん生まれていかなければなりません。当社は、”都市と地方の分断”という社会課題を解決する企業として先陣を切ってインパクトIPOに挑みます。是非、ご注目いただければと思います」と話す。






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