トータル2500型以上という圧倒的な品ぞろえで「化粧品容器のデパート」とも言われる
グラセルは、業績がV字回復している。2023年3月期に一度落ち込んだ売上高だったが、2023年4-9月期(中間期)は、前年同期比で大幅な増収となったという。2024年3月期は、過去最高の売上高を記録できそうな見通しとなっている。同社の好調の要因となっているのが、出資している新会社「株式会社BEAUTYCLE(ビューティクル)」を軸とした展開だという。ビューティクルは、化粧品・トイレタリー容器について、業界初の水平型リサイクルの取り組みを行っており、注目を集めている。同社の谷村敏昭会長に話を聞いた。
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直近の業績について教えてください。前期(2023年3月期)は売り上げが落ち込んでいたのですが、今期(2024年3月期)は、前々期(2022年3月期)の売り上げも上回れそうです。そうなれば、当社として過去最高の売り上げということになります。
――好調の要因は?業績好調の要因としては、新会社ビューティクルを軸とした営業提案が順調だったことが挙げられます。ビューティクルでは、5月に、PET、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)の容器について、リサイクルと容器製造の両方を行える新工場を竣工しました。非常に独自性が高い取り組みですので、顧客企業に営業提案を聞いてもらいやすい状況が生まれています。水平型リサイクルについて、大手企業の案件も順調に決まっています。使用済みの容器を回収したはよいものの、どうリサイクルすべきかに苦慮していたという企業も少なくないようです。そうした企業にとって、ビューティクルの水平型リサイクルが有効な選択肢になっています。
ビューティクル以外の案件についても、アフターコロナを迎えて、大型案件が戻ってきた部分もあるのだと思います。
一方、中型・小型の案件については、契約を取り逃している部分もあります。中型・小型の案件をいかに契約へとつなげていくかに主眼を置いて営業活動を進めています。
――今後の展開についても教えてください。全体的に、「今までと違うもの」を考えていく必要があります。容器の形状的にも、当社が扱っていないものはまだまだあります。戦略的に品ぞろえを拡充していきたい考えです。デザイン的にもさらに洗練され、機能的にも一歩先のものを追求するため、常に開発を行います。失敗を恐れず、「面白いもの」を作っていきたいです。
その中で、デザインも強化したいと考えています。長年容器の開発に取り組んできましたが、「まだまだこういうこともできる」ということが見えてきています。さらに極限まで「攻めた」デザインを追求していきたいです。
ガラスビンについても同様です。エッジの効いたガラスボトルについても開発していければと考えています。
中国製、韓国製など、海外製の容器についても、より積極的に取り扱っていきたいと考えています。
――韓国製や中国製の容器の品質も上がってきていると聞きます。品質が上がってきているといっても、まだ国内製造の容器と同様の品質とまではいきません。ただ、韓国などの海外製容器には、国内の容器にはなかった発想や特徴があります。現在の海外製容器の取り扱い比率は10%程度です。これを15%ぐらいまで高め、クライアントに、幅広い選択肢を提供していきたいです。
――タイの現地法人であるグラセルタイランドの状況は?タイの工場の効率化に向けた改革を進めてきました。改革がひと段落し、月次の業績が黒字化するようになってきています。
――お薦めの新容器についても教えてください。新容器というわけではないのですが、容器の内側に立体的な模様を付けられる新技術「フリル・タック」を提案できるようになりました=写真。以前から、内側に縦の波型をデザインする技術はあったのですが、横波や斜め波なども含め、複雑なデザインができるようになりました。PETのブロー容器ならば、ほぼどんな容器にもデザインを施すことができます。内側にデザインをするだけですから、外側の印刷には影響しません。
▲容器の内側に立体的な模様を付けられる新技術「フリル・タック」の提案が可能に