2023.11.10

楽天、3Qの国内EC流通は12.6%増の4.4兆円 「ふるさと納税」駆け込み寄与、「SPU改悪批判」を一蹴

楽天グループ(楽天)の2023年1-9月期(第3四半期/3Q)における国内EC流通総額は、前年同期比12.6%増の4兆4417億円になった。2023年7-9月期(純第3四半期)は同15.7%増の1兆5721億円だった。ふるさと納税のルール変更に伴う駆け込み需要や、アフターコロナで「楽天トラベル」が好調に推移したことが、流通総額拡大に寄与したという。

「楽天市場」は2023年10月以降のルール変更を受けたふるさと納税の駆け込み需要により、純第3四半の流通総額は二桁成長を達成したという。


▲純第3四半期の国内EC流通総額は15.7%増に

「楽天トラベル」は夏の商戦期の需要を取り込み、純第3四半期の国内宿泊流通総額は、コロナ禍前の2019年第3四半期と比べても39.6%増と拡大している。

三木谷浩史社長は、「脱コロナということで昨年までも(流通総額は)結構あったが、それでも(純第3四半期の)国内EC流通総額が15.7%増、トラベルが(2019年純第3四半期比で)約40%増と伸びている」と力強い成長を強調した。



一方、2023年度第4四半期は、ふるさと納税駆け込み需要や「楽天トラベル」における全国旅行支援効果の反動で、前年同期比で流通総額を超えるハードルは高まっていると説明している。


SPU変更で「楽天モバイル」とのシナジー強化


「楽天モバイル」の契約回線数は542万件にまで増加した。通信の品質向上やマーケティングの強化により、解約率が低下し、契約数が拡大している。増加基調を維持し、2024年末までに800万~1000万件の契約数を目指している。

将来的に「楽天モバイル」が楽天エコシステムの中心的な存在になるとみている。「楽天モバイル」と「楽天市場」などのグループサービスのシナジーは今後、さらに強化する方針だ。



シナジー強化の一環として、楽天スーパーポイントアッププログラム(SPU)の条件を変更し、今年12月から楽天モバイルユーザーのポイント付与率を毎日5倍にする。



三木谷社長は、「毎日5倍付くのはかなり魅力的になると思っている。将来的に1500万人、2000万人が楽天モバイルを使うようになると、それだけで『楽天市場』の流通総額が30%、40%、50%上がっていくことになる。モバイルとのシナジーは大きい」と話した。

SPUの条件変更に対して、「改悪」という声があることに対して、取締役 副社長執行役員 武田和徳氏は「発表当初はそういう声もあったが、1週間くらいでほぼほぼなくなり、逆にユーザーはしっかりと賢く購入していただいている印象だ。(楽天市場などの)店舗にも事前説明しており、ネガティブな声は上がっていない。これを機にモバイル会員を増やし、(楽天市場の)流通総額をさらに伸ばしていこうとなっている」と説明した。

楽天モバイルユーザー(1年以上の利用者)による「楽天市場」の流通総額は、年間で60%増加するというデータもある。


「楽天ファッション」でAI活用した検索技術を先行導入


決算説明会では、AI活用についても紹介した。「楽天ファッション」で先行してAIを活用したセマンティックサーチ(自然言語による検索文の意味を理解し、その意味に沿った検索結果を提供する技術)を導入している。「東京の夏の花火大会に着ていく服」と検索すると、それに見合った商品がヒットする。



2023年7月14日~8月8日に実施したABテストの結果によると、セマンティックサーチ利用により、「検索結果ゼロ」が1%以下に減少し、セッションにおける検索数が3%増、ユーザーのセッション数が4%増、検索経由の流通総額が5%増になったという。






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