2023.09.07

【日本ECサービス × グリニッジ】経営統合で1万社支援 会員サービスとSaaSでシナジー創出

グリニッジ 田中裕之社長(写真左)と日本ECサービス 清水将平社長(写真右)

EC事業者向け会員サービス「ECマスターズクラブ」を運営する日本ECサービスとEC事業者向けSaaS事業を運営するグリニッジは9月7日、両社の持ち株会社となる「株式会社ECXグループ」を新設し、グループ経営体制に移行すると発表した。両社が契約する有料顧客数は重複を除いても5000社を超える。会員サービスとSaaSのシナジーを高めることで成長を加速し、2025年中の株式上場を目指す。

11月中に持ち株会社を設立し、日本ECサービスとグリニッジが完全子会社となる。持ち株会社の代表取締役会長にグリニッジの田中裕之社長、代表取締役社長に清水将平社長が就任する。


▲グリニッジと日本ECサービスの持ち株会社「株式会社ECXグループ」を設立

新設する「ECXグループ」の「ECX」は、「Empowerment Commerce X(エンパワーメント・コマース・エックス)」の略称であり、ECに限定しないコマースの無限の可能性(X)に挑戦する意味を込めた。


▲ECXグループのコーポレートロゴ

今回の経営統合を機に、日本ECサービスが提供するLINE配信サービス「LSEG」をグリニッジに譲渡する。日本ECサービスは会員サポート事業に特化し、グリニッジはSaaSの開発・運営に集中する。


経営統合の狙いは?


経営統合の狙いは、①顧客企業の重複が少なくシナジーが見込める ②それぞれの得意領域に集中することで、さらなるサービス強化が見込める ③大きな事業者ネットワークを構築することでコマースの未来を明るくする取り組みができる――などが挙げられる。

日本ECサービスは2011年に創業し、2014年にモール出店者を中心とした会員サービス「ECマスターズクラブ」を設立した。同サービスは会員6600社(有料会員2500社)の規模に拡大している。2022年には、「LSEG」を事業譲受し、「楽天市場」の「R‐SNS」契約7000店のうち、1500店が利用するサービスに成長している。

グリニッジは2003年に創業し、EC事業者向けSaaSを数多く開発・提供してきた。主力サービスである「らくらくーぽん」は「楽天市場」に出店する3000店以上に提供している。

両社の支援企業数は合計1万社を超えており、有料サービスの利用企業数においても5000社(重複を除く)を超えている。「楽天市場」の出店者数の約1割が有料サービスを利用している計算になる。

日本ECサービスの清水社長は、「グリニッジとは10年以上前から交流があった。お互いの事業が成長してきた中で話し合ったところ、ターゲットは似ているが顧客の被りは少なく、SaaS運営のノウハウや体制も整っていることから、一緒に事業を行う可能性を感じた。当社には、『ECマスターズ』会員にパートナー企業のソリューションを紹介してきた実績がある。グリニッジのSaaSの利用者獲得にも貢献できる」と話す。


▲日本ECサービス 清水将平社長

グリニッジの田中社長は、「サービスが成長し、管理部門の業務も増えてきた中で、得意領域であるSaaS事業に集中したいという思いがあった。多くの事業者と取り引きする中で、モール運営について問い合わせを受けることも増えた。『ECマスターズ』であれば、そういった事業者の悩みにも応えてくれる。手を組むことでSaaSをより強化でき、付加価値のある顧客サポートも提供できると考えた」と話す。


▲グリニッジ 田中裕之社長


新ソリューションの開発も視野


経営統合後は、両社の事業領域を明確化し、それぞれのサービスのシナジー創出に注力する。

日本ECサービスの清水社長は、「日本のECはこのままでいいのか、という危機感もある。ECに限らないコマースの世界をもっと良くしたい。今回の経営統合でより多くの事業者さまとつながることができる。規模が大きくなることで、新たなソリューションを開発したり、外部パートナーと会員がメリットを享受できるアライアンスを組めたりできる。できるだけ多くの事業者が儲かる世界を実現したい」と意気込みを語る。

グリニッジの田中社長は、「もともと私の親も商売をやっていた。課題が多いことも理解しているが、中小企業がもっと成長するお手伝いをしたい。EC事業の売り上げを伸ばすソリューションだけではなく、働き方が変化する中で中小企業向けのHRテックの開発にも取り組みたい」と展望を話す。






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