2023.06.26

【M&Aの背景を聞く】フラッシュセールのla belle vie、香取氏「シナジー創出でさらなる成長」渡邉氏「スピードアップが必要」

la belle vie 取締役副社長執行役員 香取純一氏(左)、取締役副社長執行役員 渡邉サブリナ氏


有名ブランドアイテムやサービスを期間限定で低価格販売するフラッシュセールサイトの「GILT(ギルト)」と「GLADD(グラッド)」を運営するla belle vie (ラベルヴィー)は2023年5月19日付で、日本テレビホールディングスの完全子会社となった。シナジー創出を目的とする両社の動向に注目が集まりそうだ。ラベルヴィーが子会社となった背景について、取締役副社長執行役員の香取純一氏と渡邉サブリナ氏に話を聞いた。



――M&Aの背景について。


香取:発表通りの内容で、双方の目的が一致した。

日本テレビHDは、売上高約4000億円、利益約500億円という大きな会社。テレビ以外の収益化を進めている最中で、総合コンテンツ企業として歩み始めている。今、ECやAI(人工知能)などに投資しており、目を向けてもらった。

当社としては、ECのノウハウとプラットフォームを活用して、両社でさらなる成長を目指していく。今月からキックオフとして打ち合わせは始まった。

テレビなどのメディアを持つ会社への認知拡大は、今後の成長にとって必要だった。さらに、ビジネスのスピードアップも目指していた。

当社は、フラッシュセールという手法でここまで成長してきた。しかし、数年先を見据えた成長を考えた時、中国などの東南アジアへの展開も選択肢としてはあった。

しかし、当社が持つ570万人超の会員拡大にフォーカスし、国内マーケットの拡大に重点をおいた。販売チャネルの拡大よりも、当社が持つ570万人超の会員に成長性があった。

日本テレビHDには、テレビや動画配信サービスなどのリソースがある。両社のシナジーを見越した最良のマーケティングを展開していくつもりだ。

――M&Aをしなくても成長できたのでは?

渡邉:自分たちの力で成長していくこともできたと思う。当社が通販を展開して、14年が経過しても、毎年、着実に成長しているためだ。

しかし、成長するには、常時、投資が必要だ。投資なくして通販EC業界内での成長は難しい。

当然ながら、成長すればするほど投資額も大きくなる。費用対効果も出す必要がある。

一方、今の時代は非常に変化が早い。日々情勢も変わる。そして時間も有限だ。こうしたことを考えれば、スピードアップした展開は欠かせなくなる。さまざまなことを考慮した結果、M&Aという選択肢で成長していく方が最良だと判断した。

創業時を振り返ると、当社はイチから事業を開始し、時間軸では、「短期間」でさまざまなことを進めてきた。なかには、2~3カ月で立ち上がったものもある。

また、当社が創業時から展開する「グラッド」は2009年8月にローンチした。ちょうど、同時期に米国発のフラッシュセールサイト「ギルト」が4月に日本に上陸した。今は当社の中で展開しているが、当時はギルトの方が数カ月先にいる状況だった。無我夢中で進めてきた。

こうした経験もあり、半年、1年という時間を埋めることが、どれだけ大変か、そして重要になるかを十分に理解している。先にやられるよりも、先に仕掛けることが良いことを、当時から学んでいた。

今回の件も同様で、新たなビジネス展開のため、スタートダッシュが非常に重要だ。

――今後の意気込みは?

渡邉:今、総動員で動いている状態だ。日本テレビHDには、たくさんの子会社がある。それぞれと横ぐし経営のような形でシナジーを生み出そうと、さまざまなところで進めている。シナジーという部分においては、非常に期待できる。楽しみしてほしい。







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