2023.05.22

【健康食品の「完コピ品」問題】フリマサイトで被害拡大 中国系出品者が大半、対策はいたちごっこ

偽造品(写真左)と正規品の乾燥剤


ECプラットフォームに権利侵害の主張を


ジェトロの北京事務所によると、模倣品の流通対策として最も有効な手段は、模倣品が出品されているECプラットフォームに対して、「模倣品の出品者による権利侵害」に基づき、出品者のアカウントや販売の停止を申し立てる方法だという。

「露骨に商標権を侵害している模倣品のようなケースでは、プラットフォームも対応してくれることが多い。ただ、出品者が複数いる場合、いたちごっこになってしまうことも多い。模倣品でなく、正規品が横流しで流通している場合は、商標権の権利侵害が成立せず、プラットフォームが動けないこともある」(同)と話す。

税関に商標権を登録する方法も有効だ。税関に商標権を登録すると、税関で商標権を侵害する輸入品を発見した場合、侵害品を差し止めることができるという。税関では、サプリの成分のチェックまではできないが、過去の差し押さえに関する情報は蓄積されるため、不正な流通が繰り返されるのを防ぐ効果もあるようだ。


不正競争防止法にも抵触


健康食品の完コピ品は、そもそもどんな法律に抵触するのだろうか。

健康食品や化粧品に詳しい、東京神谷町綜合法律事務所の成眞海(せい・しんかい)弁護士によると、健康食品の模倣品の販売は、不正競争防止法違反(商品形態の模倣)に該当する可能性があるという。違反した場合、5年以下の懲役か、500万円以下の罰金が科せられるそうだ。刑法の偽計業務妨害に当たる可能性もあるという。

ジェトロによると、模倣品は、商標権の侵害を主張できるケースが多いほか、著作権や専利権(権利者の排他的独占権)の侵害を主張できるケースもあるという。

ジェトロによると、中国では近年、商標権などの侵害について「懲罰的損害賠償」の制度が導入された。同制度の適用事例では、模倣品の販売に対する民事上の賠償額が、実際の損害額の3倍になったケースもあるようだ。中国政府による、模倣品販売事業者に対する処分内容も随時公開されているという。

「サプリや化粧品の模倣品については、軽微な健康被害の報告は多くあるようだ。中国行政は、食品の模倣品の摘発に、特に注力しているとみられる」(同)という。日本国内においても、摘発の強化が必要となってきそうだ。

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